FMSとはどんな仕組みか、MRP・JIT・MOTと見分ける
ITパスポート試験 令和7年度 問11 / ビジネスインダストリ › エンジニアリングシステム
過去問にチャレンジ
スマートファクトリーにおいても使用されている,FMS(Flexible Manufacturing System)に関する記述として,最も適切なものはどれか。
- ア
技術革新を効果的に自社の経営に取り入れることによって,企業の成長を図る。
- イ
生産工程の各段階で,原材料から完成製品までの資材の流れを適時・適量に管理する。
- ウ
生産時に必要となる部品などを必要な分だけ供給することによって,生産リードタイムを短縮する。
- エ
複数の工作機械や産業用ロボットなどを有機的に結合し,生産プロセス全体を統括的に制御・管理する。
会話形式の解説
講師今回はFMSという生産の仕組みについての問題です。選択肢には生産管理の別の用語の説明が並んでいるので、それぞれの文がどの用語の説明なのかを当てはめていくのがポイントです。
受験者略語が多くて混乱しやすい分野です。FMSは「Flexible Manufacturing System」なので、柔軟な生産の仕組み、というくらいしか分かりません。
講師その読み方で十分な手がかりになります。「System」とあるので、経営の考え方ではなく、工場で使われる生産の仕組み、つまり機械などの設備をまとめたものだと見当をつけられます。
受験者そうすると、技術革新を経営に取り入れて企業の成長を図る、という選択肢は経営の話なので違いそうです。
講師そのとおりです。それはMOT、技術経営の説明です。MOTは経営の考え方であって、工場の設備を制御する仕組みではありません。
受験者原材料から完成品までの資材の流れを適時・適量に管理する、という選択肢は生産の話なので、FMSでもおかしくない気がしました。
講師生産に関わる点は同じなので迷いやすいところです。ただ、これはMRP、資材所要量計画の説明です。資材がどれだけ必要かを計画・管理する手法で、FMSのように機械やロボットを統合して制御するものとは別物です。
受験者部品を必要な分だけ供給して生産リードタイムを短縮する、という選択肢はJITの説明でしょうか。
講師合っています。JIT、ジャストインタイムの説明です。文中の「必要な分だけ供給」という言葉が見分ける手がかりになります。この問題ではFMSの説明ではないので、誤りの選択肢になります。
受験者残るのは、複数の工作機械や産業用ロボットを有機的に結合し、生産プロセス全体を統括的に制御・管理する、という選択肢です。これがFMSですね。
講師それが正解です。工作機械やロボット、搬送装置などを結びつけて、コンピュータで統括制御する生産システムがFMSです。そうすることで、製品の種類や生産量の変化に柔軟に対応できます。
受験者「Flexible」は、作る製品が変わっても対応しやすいという意味だったのですね。だから多品種少量生産にも向いているということでしょうか。
講師そう理解してよいです。覚え方としては、「機械・ロボットの結合と統括制御」ならFMS、「資材の流れを適時・適量に」ならMRP、「必要な分だけ供給」ならJIT、「技術革新を経営に」ならMOTと、文中のキーワードと結びつけておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
まとめ
FMS(フレキシブル生産システム)は、複数の工作機械や産業用ロボット、搬送装置などを結合し、コンピュータで生産プロセス全体を統括的に制御・管理する生産システムです。製品の種類や生産量の変化に柔軟に対応できるため、多品種少量生産に向いています。この問題では、MOT(技術革新を経営に取り入れる経営手法)、MRP(資材の所要量を計画・管理する手法)、JIT(必要な部品を必要な分だけ供給する方式)の説明が誤りの選択肢として並んでいます。選択肢の文中のキーワードと用語を結びつけて覚えると、見分けやすくなります。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
FMS(フレキシブル生産システム)とは何かを問う問題です。似た略語で並びやすいMOT・MRP・JITと区別できるかが問われています。
解き方の考え方
まず「Flexible Manufacturing System」という名前から、柔軟に対応できる「生産の仕組み」、つまり機械を結合した設備のことだと見当をつけます。次に、各選択肢がどの用語の説明なのかを当てはめていきます。経営手法の話(MOT)、資材計画の話(MRP)、部品供給の話(JIT)を外していくと、機械やロボットの統合制御を述べた選択肢が残ります。
選択肢ごとの解説
- ×ア 技術革新を効果的に自社の経営に取り入れることによって,企業の成長を図る。技術革新を経営に取り入れて成長を図るという説明は、MOT(技術経営)のものです。MOTは経営の考え方であり、工場の設備を制御する仕組みではありません。
- ×イ 生産工程の各段階で,原材料から完成製品までの資材の流れを適時・適量に管理する。原材料から完成品までの資材の流れを適時・適量に管理するという説明は、MRP(資材所要量計画)のものです。FMSは機械やロボットの統合制御が中心で、資材管理の手法とは別物です。
- ×ウ 生産時に必要となる部品などを必要な分だけ供給することによって,生産リードタイムを短縮する。必要な部品を必要な分だけ供給し、リードタイムを短縮するという説明は、JIT(ジャストインタイム)のものです。「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」というキーワードが手がかりになります。
- ○エ 複数の工作機械や産業用ロボットなどを有機的に結合し,生産プロセス全体を統括的に制御・管理する。複数の工作機械や産業用ロボットを有機的に結合し、生産プロセス全体を統括的に制御・管理するという説明は、FMSそのものです。コンピュータで統括制御することで、製品の種類や生産量の変化に柔軟に対応できます。
補足
生産管理の用語は、選択肢の文中にあるキーワードで見分けるのが近道です。「機械・ロボットの結合と統括制御」ならFMS、「資材の流れを適時・適量に」ならMRP、「必要な分だけ供給」ならJITと結びつけて覚えておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
POINT
- FMSは、工作機械・ロボット・搬送装置などを結合し、コンピュータで統括制御する生産システムです。
- FMSは製品の種類や生産量の変化に柔軟に対応できるため、多品種少量生産に向いています。
- MOTは技術革新を経営に取り入れる経営手法で、生産設備の仕組みではありません。
- MRPは資材の所要量を計画・管理する手法で、JITは必要な部品を必要な分だけ供給する方式です。
