コンカレントエンジニアリングの流れ図はどう見分ける?
ITパスポート試験 令和4年度 問32 / ビジネスインダストリ › エンジニアリングシステム
過去問にチャレンジ
コンカレントエンジニアリングを適用した後の業務の流れを表した図として,最も適したものはどれか。ここで,図の中の矢印は業務の流れを示し,その上に各作業名を記述する。
- ア

- イ

- ウ

- エ

会話形式の解説
講師今回は、コンカレントエンジニアリングを図で見分ける問題です。4つの図は、どれも仕様、製作図、工程図、製作という同じ4工程でできています。違うのは矢印のつながり方と並び方なので、そこに注目してください。
受験者カタカナ語なので意味があいまいです。「コンカレント」は「同時」のような意味だったと思うのですが、合っていますか。
講師その理解で大丈夫です。コンカレントエンジニアリングは、設計や製造などの工程を同時並行で進める手法です。前の工程が終わるのを待たずに次の工程を早めに始めて、工程を重ねながら進めます。
受験者そうすると、4つの矢印が一直線につながっている図は、1つ終わってから次に進むので違いますね。
講師そのとおりです。その図は、工程を1つずつ順番に進める逐次型、つまりシーケンシャルな流れです。コンカレントエンジニアリングを適用する前の、従来の進め方にあたります。
受験者迷うのはループのある図です。製作から工程図へ戻る図や、最後まで行ってから仕様に戻る図は、何度もやり直しながら進めるので、効率的な進め方にも見えてしまいます。
講師そう考えてしまうかもしれませんね。ただ、ループが表しているのは手戻り、つまり前の工程へ戻ってやり直すことや、全体の繰り返しです。どちらの図も、工程どうしの時間は重なっていません。
受験者製作から工程図へ戻る図は一部の手戻りで、仕様まで戻る図は全工程の反復ということですね。どちらも同時進行ではないと。
講師はい。ループがあっても、並行作業にはなりません。残る図は、4本の矢印が階段状にずれて並んでいて、次の工程が前の工程の途中から始まっています。
受験者前の矢印が終わる前に次の矢印が始まっているので、時間が重なっているのですね。これが同時並行を表す図だと分かりました。判断のポイントは、ループの有無ではなく、矢印が時間的に重なっているかどうかですね。
講師そのとおりです。あわせて効果も覚えておきましょう。主な効果は開発期間の短縮で、手戻りの低減、問題の早期発見、コストの削減も挙げられます。うまく進めるには、担当者どうしが早い段階で情報を共有して連携することが前提です。その一方で、並行して進めるぶん、部門間の調整やコミュニケーションの負担が増えるという短所もあります。
まとめ
コンカレントエンジニアリングは、設計や製造などの工程を同時並行で進める手法です。前の工程の完了を待たずに次の工程を始めるため、図では工程の矢印が階段状にずれて、時間的に重なって描かれます。工程を一直線につないだ図は従来の逐次型(シーケンシャル)の流れで、後戻りのループがある図は手戻りや反復を表すだけなので、同時進行にはあたりません。主な効果は開発期間の短縮で、早い段階での情報共有と連携が前提になります。一方で、部門間の調整の負担が増えるという短所もあります。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
コンカレントエンジニアリングの考え方を理解し、それを業務の流れの図として正しく見分けられるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、コンカレントエンジニアリングが「設計や製造などの工程を同時並行で進める手法」だと思い出します。図で判断するときは、前の工程が終わる前に次の工程が始まっているかどうか、つまり矢印が時間的に重なっているかを見ます。後戻りするループがあるだけの図は、手戻りや反復を表しているにすぎず、同時進行ではありません。4つの図のうち、工程の矢印がずれて重なっているのはエだけです。
選択肢ごとの解説
- ×アアは、仕様、製作図、工程図、製作の4工程を一直線につないだ図です。前の工程が終わってから次の工程を始める逐次型(シーケンシャル)の流れで、工程の並行作業は表していません。コンカレントエンジニアリングを適用する前の、従来の進め方にあたります。
- ×イイは、基本は直列の流れで、製作から工程図へ戻るループがついた図です。一部の手戻り(フィードバック)を示しているだけで、複数の工程を同時に進めてはいません。ループがあるからといって、並行作業になるわけではありません。
- ×ウウは、製作まで終えたあと、最初の仕様へ戻って全工程を繰り返す図です。工程全体の反復を表しているだけで、各工程の時間は重なっていません。そのため、同時並行で進める手法の図とはいえません。
- ○エエは、仕様、製作図、工程図、製作の矢印が階段状にずれて並び、次の工程が前の工程の途中から始まっています。前の工程の完了を待たずに次の工程へ着手し、工程を重ねて進めるというコンカレントエンジニアリングの特徴をそのまま表しています。複数の工程の同時進行を示している図はエだけです。
補足
図の問題では、後戻りのループがある図(イやウ)を「柔軟で効率的な進め方」と取り違えやすいので注意が必要です。ループは手戻りや反復を表すもので、コンカレントエンジニアリングの判断ポイントは、工程が時間的に重なっているかどうかです。なお、並行して進めるぶん、部門間の調整やコミュニケーションの負担が増えるという短所もあります。
POINT
- コンカレントエンジニアリングは、設計・製造などの工程を同時並行で進める手法です。
- 前の工程の完了を待たずに次の工程を早めに始め、工程を重ねて進めます。
- 主な効果は開発期間の短縮で、手戻りの低減、問題の早期発見、コストの削減も挙げられます。
- うまく進めるには、担当者どうしが早い段階で情報を共有し、連携することが前提になります。
- 工程を1つずつ順番に進める従来の方式は、逐次型(シーケンシャル)と呼ばれます。
