現状と理想の差から移行計画を立てる手法はどれか
ITパスポート試験 令和7年度 問27 / システム戦略 › 情報システム戦略
過去問にチャレンジ
業務と情報システムを最適にすることを目的として,業務と情報システムの現状の把握と目標とする理想像の設定から現状と理想との乖離を明確にし,目標に向けた改善活動を移行計画として定義したい。このときに用いられる手法として,最も適切なものはどれか。
- ア
BI(Business Intelligence)
- イ
EA(Enterprise Architecture)
- ウ
MOT(Management of Technology)
- エ
SOA(Service Oriented Architecture)
会話形式の解説
講師この問題では、問題文に出てくる言葉の順番に注目してください。「現状の把握」「理想像の設定」「乖離の明確化」「移行計画」と、手順が一続きで書かれています。この流れをまるごと扱う手法を選ぶ問題です。
受験者略語が4つ並んでいて、私はどれも似て見えてしまいます。「現状を把握する」という部分だけなら、データを分析するBIでも当てはまりそうな気がしました。
講師そこは引っかかりやすいところです。BIは、社内にたまったデータを集めて分析し、経営の意思決定に役立てる手法やツールです。現状の分析には使えますが、理想像を描いて移行計画を立てるための枠組みではありません。
受験者現状の分析しかカバーしていないのですね。では、EAとSOAはどちらも「アーキテクチャ」が付いていますが、違いはどこにあるのですか。
講師EAは、組織全体の業務と情報システムを統一的な方法で整理し、全体の最適化を目指す手法です。現状をAs-Is、理想像をTo-Beとして整理して比べ、その差を明らかにしてから、差を埋める移行計画を立てます。問題文の流れにすべて当てはまります。
受験者SOAのほうは何をするものですか。システム関係の言葉なので、こちらも業務の改善に使えそうに思えます。
講師SOAは、システムの機能を「サービス」という単位に分けて、それらを組み合わせてシステムを作る設計手法です。EAで描いた理想像を実現する手段として使われることはありますが、現状と理想の差を分析する手法ではありません。
受験者SOAはシステムの作り方で、EAは組織全体の設計図と移行計画、ということですね。残りのMOTはどうでしょうか。
講師MOTは技術経営のことです。技術を経営資源ととらえ、事業の利益やイノベーション、つまり新しい価値の創出につなげる考え方です。業務と情報システムの現状と理想を比べる手法ではないので、ここでは当てはまりません。
受験者整理すると、「現状」「理想」「差」「移行計画」がそろっていて、しかも業務と情報システムの全体最適が目的なので、EAが正解ということですね。
講師そのとおりです。補足すると、EAでは業務・データ・アプリケーション・技術の4つの体系に分けて整理します。代表的なフレームワーク、つまり進め方のひな形としてTOGAFというものもあります。
講師試験では「As-Is」「To-Be」「ギャップ」「移行計画」といった言葉が出てきたら、まずEAを思い浮かべるとよいでしょう。EAとSOAは名前が似ているので、違いを押さえておくと迷いにくくなります。EAは主に政府機関や大企業で、業務やシステムの標準化・最適化に使われています。
まとめ
業務と情報システムの現状(As-Is)と理想像(To-Be)を整理して比べ、その差を埋める移行計画を立てる手法はEA(エンタープライズアーキテクチャ)です。EAは組織全体の業務と情報システムを、業務・データ・アプリケーション・技術の4つの体系で整理し、全体最適を目指します。BIはデータ分析で意思決定を支える手法、MOTは技術経営、SOAはサービス単位でシステムを作る設計手法で、いずれも現状と理想の差から移行計画を立てる手法ではありません。「As-Is」「To-Be」「ギャップ」「移行計画」という言葉が出てきたら、EAを思い浮かべるのが目安です。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
業務と情報システムについて、現状の把握、理想像の設定、両者の乖離の明確化、移行計画の策定までを一貫して行う手法の名称を問う問題です。
解き方の考え方
問題文にある「現状」「理想像」「乖離」「移行計画」という流れに注目します。この流れは、現状(As-Is)と理想(To-Be)を比べ、その差を埋める計画を立てるEAの進め方そのものです。ほかの選択肢がそれぞれ何をする手法かを確かめ、「業務と情報システムの全体最適」と「移行計画」の両方に当てはまるものを選びます。
選択肢ごとの解説
- ×ア BI(Business Intelligence)BIは、社内に蓄積されたデータを集めて分析し、経営の意思決定に役立てる手法やツールです。現状を分析することはできますが、理想像を設計したり、移行計画を立てたりするための枠組みではありません。
- ○イ EA(Enterprise Architecture)EAは、組織全体の業務と情報システムを統一的な方法で整理し、最適化を図る手法です。現状(As-Is)と理想像(To-Be)を整理して比べ、その差を明らかにしたうえで、差を埋めるための移行計画を立てます。設問の流れにすべて当てはまります。
- ×ウ MOT(Management of Technology)MOTは技術経営のことで、技術を経営資源ととらえ、事業の利益やイノベーションにつなげるための考え方です。業務と情報システムの現状と理想を比べて移行計画を立てる手法ではありません。
- ×エ SOA(Service Oriented Architecture)SOAは、システムの機能をサービスという単位に分け、それらを組み合わせてシステムを作る設計手法です。EAで描いた理想像を実現する手段として使われることはありますが、現状と理想の乖離を分析する手法ではありません。
補足
「As-Is」「To-Be」「ギャップ」「移行計画」といった言葉が出てきたら、まずEAを思い浮かべるとよいでしょう。SOAもEAも「アーキテクチャ」という語を含むので混同しやすいですが、SOAはシステムの作り方、EAは組織全体の設計図と移行計画、と区別して覚えておくと迷いにくくなります。EAは主に政府機関や大企業で、業務やシステムの標準化・最適化に使われています。
POINT
- EAは、業務と情報システムを組織全体の視点で整理し、全体最適を目指す手法です。
- EAの基本的な流れは、現状(As-Is)と理想(To-Be)を整理し、その差を明らかにして移行計画を立てることです。
- EAでは、業務・データ・アプリケーション・技術の4つの体系に分けて整理します。
- BIはデータ分析による意思決定支援、MOTは技術経営、SOAはサービス単位でシステムを作る設計手法です。
