問題管理とインシデント管理の違いは?4つのプロセスを見分ける
ITパスポート試験 令和8年度 問46 / サービスマネジメント › サービスマネジメントシステム
過去問にチャレンジ
ITサービスマネジメントのプロセスである問題管理の説明として,適切なものはどれか。
- ア
ITサービスを提供するためのハードウェア,ソフトウェア,ドキュメントなどの構成情報を維持管理する。
- イ
計画外のITサービスの中断に対して,迅速にサービスを復旧する。
- ウ
障害の根本原因を調査し,問題の解決策を提示する。
- エ
プログラム修正を実施するための計画を立て,確実に修正されるように管理する。
会話形式の解説
講師今回はITサービスマネジメントのプロセスのうち、問題管理の役割を問う問題です。選択肢にはインシデント管理、構成管理、変更管理の説明も混ざっているので、各プロセスの目的の違いに注目してください。
受験者私はインシデント管理と問題管理の区別があいまいです。どちらも障害に対応するプロセスなのではないかと思っていました。
講師そこが一番の引っかけです。インシデントとは、計画していないサービスの中断や品質の低下のことです。インシデント管理の目的は、とにかく早くサービスを元に戻して、利用者への影響を小さくすることです。
受験者そうすると、計画外のサービス中断から迅速に復旧するという説明はインシデント管理のものですね。
講師そのとおりです。インシデント管理は復旧を優先するので、根本原因の調査まで必ず行うわけではありません。そこを受け持つのが問題管理です。
受験者問題管理は、なぜ障害が起きたのかを調べるプロセスということですか。
講師はい。インシデントの背後にある根本原因を突き止めて、恒久的な解決策や回避策を示し、再発を防ぐのが問題管理です。障害の根本原因を調査して解決策を示すという説明が、問題管理の役割にあたります。これが正解です。
受験者残りの選択肢も確認させてください。ハードウェアやソフトウェア、ドキュメントの構成情報を維持管理するという説明は、構成管理だと思います。
講師そのとおりです。構成情報の管理は構成管理の役割です。機器やソフトウェアの情報とそれらの関係をデータベースに記録して管理しますが、障害の原因を調べるプロセスではありません。
受験者プログラム修正の計画を立てて確実に修正されるよう管理する、という説明が少し迷います。問題の解決策を実行する部分なので、問題管理に含まれるのではないでしょうか。
講師迷いやすいところです。これは変更管理の役割です。問題管理が示した恒久対策も、実際にシステムへ適用するときは、変更管理で影響を評価し、承認を受けてから行うのが一般的です。問題管理は解決策を示すところまで、と押さえてください。
受験者整理すると、早く戻すのがインシデント管理、原因を調べて再発を防ぐのが問題管理、構成情報を管理するのが構成管理、修正や変更を計画して確実に実施させるのが変更管理ですね。
講師よく整理できています。補足すると、問題管理では原因が判明した誤りを既知の誤りとして記録し、回避策とあわせて再発時の対応に役立てます。また、ITIL 4では各プロセスがプラクティスと呼ばれ、変更管理は変更実現、構成管理はサービス構成管理という名称になっています。問題管理とインシデント管理は名称が変わっていないので、この問題の答えにも影響はありません。
まとめ
ITサービスマネジメントの問題管理は、インシデントの根本原因を調査して恒久的な解決策や回避策を示し、再発を防ぐプロセスです。インシデント管理はサービスを迅速に復旧させて利用者への影響を小さくすることが目的で、原因の追究を必ずしも行わない点が問題管理と異なります。構成管理はハードウェアやソフトウェアなどの構成情報を維持管理し、変更管理は修正や変更を計画・評価・承認したうえで確実に実施させます。各プロセスの目的の違いを押さえれば、選択肢を見分けやすくなります。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
ITサービスマネジメントのプロセスのうち、問題管理がどんな役割を持つかを問う問題です。インシデント管理・構成管理・変更管理と区別できるかが問われています。
解き方の考え方
まず、各選択肢がどのプロセスの説明なのかを割り当てていきます。手がかりになるのは目的の違いです。「迅速な復旧」はインシデント管理、「構成情報の維持管理」は構成管理、「修正の計画と確実な実施」は変更管理にあたります。問題管理の目的は再発防止なので、「根本原因の調査」を含む選択肢が正解です。
選択肢ごとの解説
- ×ア ITサービスを提供するためのハードウェア,ソフトウェア,ドキュメントなどの構成情報を維持管理する。ハードウェアやソフトウェア、ドキュメントといった構成情報を維持管理するという説明は、構成管理の役割です。構成管理では、機器やソフトウェアの情報とそれらの関係をデータベースに記録して管理します。障害の原因を調べるプロセスではありません。
- ×イ 計画外のITサービスの中断に対して,迅速にサービスを復旧する。計画外のサービス中断から迅速に復旧するという説明は、インシデント管理の役割です。インシデント管理は、利用者への影響をできるだけ小さくして早くサービスを再開することを優先します。根本原因の調査まで必ず行うわけではありません。
- ○ウ 障害の根本原因を調査し,問題の解決策を提示する。障害の根本原因を調査して解決策を示すという説明は、問題管理の役割そのものです。問題管理は、インシデントの背後にある原因を突き止め、恒久的な解決策や回避策を示して再発を防ぎます。
- ×エ プログラム修正を実施するための計画を立て,確実に修正されるように管理する。プログラム修正の計画を立て、確実に修正されるよう管理するという説明は、変更管理の役割です。問題管理が示した恒久対策も、実際に適用するときは変更管理で影響を評価し、承認を受けてから行うのが一般的です。
補足
よくある引っかけは、インシデント管理と問題管理を混同させるものです。「とにかく早く元に戻す」のがインシデント管理で、「なぜ起きたかを調べ、二度と起きないようにする」のが問題管理だと覚えると区別しやすくなります。問題管理では、原因が判明した誤りを既知の誤りとして記録し、回避策とあわせて再発時の対応に役立てます。
※ITIL 4では、各プロセスは「プラクティス」と呼ばれるようになりました。変更管理は「変更実現」、構成管理は「サービス構成管理」という名称で扱われています。問題管理とインシデント管理は名称が変わっておらず、本問の正解にも影響はありません。
POINT
- 問題管理は、インシデントの根本原因を調査し、恒久的な解決策や回避策を示して再発を防ぐプロセスです。
- インシデント管理は、サービスを迅速に復旧させ、利用者への影響を最小にすることを目的とします。
- 構成管理は、ハードウェアやソフトウェアなどの構成情報を正確に維持管理します。
- 変更管理は、修正や変更を計画し、影響を評価・承認したうえで確実に実施されるよう管理します。
