直接費と間接費はどう分ける?製造費用の判断基準
ITパスポート試験 令和8年度 問9 / 企業活動 › 会計・財務
過去問にチャレンジ
製品の製造に関連して発生する次の費用のうち、間接費だけを全て挙げたものはどれか。 a 完成した製品を検査する労務費 b 工場の電気供給設備を保守する労務費 c 製品の外注加工費
- ア
a,b
- イ
b
- ウ
b,c
- エ
c
会話形式の解説
講師今回は、製造に関わる費用を直接費と間接費に分けられるかを問う問題です。見分けるときの基準は一つだけで、その費用が「どの製品のために発生したか」を特定できるかどうかです。
受験者「労務費」と付いている費用が二つありますね。人件費はどれも同じ種類の費用に見えるので、両方とも直接費か、両方とも間接費か、どちらかだと思っていました。
講師そこが引っかけになっています。費目の名前ではなく、その作業がどの製品のために行われたかで判断します。まず、完成した製品を検査する労務費から考えてみましょう。
受験者検査の対象は完成した製品そのものですね。どの製品を検査したかが分かるので、その製品に費用を結び付けられそうです。
講師そのとおりです。この問題では、検査した製品に結び付けられる費用として、直接費のうちの直接労務費として扱います。では、工場の電気供給設備を保守する労務費はどうでしょうか。
受験者電気供給設備は工場全体で使うものなので、どの製品のための作業かを一つに決められません。こちらは間接費ですか。
講師はい、間接労務費になります。間接費は個々の製品に直接結び付けられないので、所定の基準で各製品に割り振ります。この割り振りを配賦といいます。
受験者最後の外注加工費は、材料費でも労務費でもないので、間接費のように感じました。
講師そう勘違いしやすいところです。外注加工費は、外注に出した製品のために発生する費用なので、その製品に結び付けられます。そのため直接費で、区分は直接経費です。
受験者そうすると、間接費は電気供給設備の保守の労務費だけですね。検査の労務費も含めた組合せや、外注加工費を含めた組合せは、直接費が混ざっているので誤りになります。外注加工費だけの組合せは、間接費を落としたうえに直接費を選んでいます。
講師正確に整理できています。直接費は直接材料費・直接労務費・直接経費の三つに分かれます。工場で共用する設備の保守費のように、製品全体を支えるための費用は間接費の典型です。「労務費」や「経費」という言葉だけで決めつけず、製品に結び付けられるかどうかを確認する習慣をつけておきましょう。
まとめ
製造に関わる費用は、特定の製品に直接結び付けられるかどうかで、直接費と間接費に分けます。完成した製品を検査する労務費は、検査した製品に結び付けられるので直接労務費です。工場の電気供給設備を保守する労務費は、工場全体で共用する設備のための費用なので間接労務費になり、所定の基準で製品に配賦します。外注加工費は外注した製品に結び付けられるので直接経費です。したがって、間接費に当たるのは電気供給設備の保守の労務費だけです。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
製造に関わる費用を、直接費と間接費に分けられるかを問う問題です。分ける基準は、その費用が「どの製品のために発生したか」を特定できるかどうかです。
解き方の考え方
a〜cのそれぞれについて、費用の発生先を特定の製品に結び付けられるかを確かめます。結び付けられれば直接費、工場全体で共用するものなどのために発生していて個々の製品に結び付けられなければ間接費です。この基準で判定すると、間接費はbだけになります。選択肢の中で「bだけ」を挙げているものを選べば正解です。
選択肢ごとの解説
- ×ア a,b「a,b」の組合せは、aを間接費に含めている点が誤りです。aの完成した製品を検査する労務費は、検査した製品に費用を結び付けられるので、本問では直接費(直接労務費)として扱います。bは間接費ですが、aが含まれているため「間接費だけ」の条件を満たしません。
- ○イ b「bだけ」の組合せが正解です。bで保守している工場の電気供給設備は、工場全体で共用する設備です。そのため、この保守にかかる労務費は特定の製品に直接結び付けられず、間接費(間接労務費)になります。間接費は、所定の基準で各製品に配賦します。
- ×ウ b,c「b,c」の組合せは、cを間接費に含めている点が誤りです。cの製品の外注加工費は、外注に出した製品のために発生した費用なので、その製品に結び付けられます。そのため、cは直接費(直接経費)に分類されます。
- ×エ c「cだけ」の組合せは、直接費であるcを間接費としています。さらに、間接費であるbが含まれていません。
補足
「労務費」という同じ言葉が付いていても、直接労務費の場合と間接労務費の場合があります。費目の名前で判断せず、その作業がどの製品のために行われたかで判断することが大切です。また、外注加工費は材料費や労務費ではないため間接費と勘違いしやすいですが、製品に結び付けられる経費なので直接経費です。
POINT
- 直接費か間接費かは、その費用を特定の製品に直接結び付けられるかどうかで分けます。
- 直接費は発生先の製品を特定できる費用で、直接材料費・直接労務費・直接経費に分かれます。
- 間接費は個々の製品に直接結び付けられない費用で、所定の基準で製品に配賦します。
- 工場で共用する設備の保守費のように、製品全体を支えるための費用は間接費の典型です。
- 外注加工費は、外注した製品に結び付けられるので直接経費になります。
