プロンプトエンジニアリングの意味と似たAI用語の見分け方
ITパスポート試験 令和8年度 問98 / 基礎理論 › 情報に関する理論
過去問にチャレンジ
AIにおけるプロンプトエンジニアリングの説明として,適切なものはどれか。
- ア
AIが,多数の事象やデータから普遍的なルールや知識を獲得すること
- イ
AIに対する質問や指示などが入力できる状態であることを,画面上に記号や文字列で示すこと
- ウ
意図した回答を得るためにAIに対する質問や指示の内容,情報の提供,出力形式の指定などを工夫すること
- エ
神経細胞が作るネットワークをコンピュータで模した,AIで用いられる計算モデルのこと
会話形式の解説
講師今回はプロンプトエンジニアリングの意味を問う問題です。選択肢には別のAI用語の説明も混ざっているので、それぞれが何の用語の説明なのかを当てはめていくのがコツです。
受験者カタカナ語が続くと混乱しやすいです。プロンプトというと、画面に出る「>」のような記号を思い浮かべたのですが、それとは違うのでしょうか。
講師大事なところです。「プロンプト」には意味が二つあります。一つはコマンドラインで入力を待っていることを示す表示、つまり入力待ち表示です。もう一つは、生成AIに入力する質問や指示などの文章です。プロンプトエンジニアリングで扱うのは後者です。
受験者そうすると、入力できる状態を画面に記号や文字列で示すという選択肢は、入力待ち表示のほうのプロンプトの説明ということですね。
講師そのとおりです。その選択肢は「プロンプト」のもう一つの意味を述べたものです。プロンプトエンジニアリングが扱うのは画面の表示ではなく、入力する指示の中身です。
受験者「エンジニアリング」は工夫や設計という意味なので、入力文を工夫して望む回答を引き出すこと、と考えればよいでしょうか。
講師はい。意図した回答を得るために、質問や指示の内容、与える情報、出力形式の指定などを工夫する、という選択肢がそれにあたり、これが正解です。生成AIは入力文の内容によって回答の質や内容が大きく変わるので、こうした工夫が重視されています。
受験者多くのデータから普遍的なルールや知識を得るという選択肢も、AIをうまく使う話に見えて少し迷いました。
講師それは機械学習の説明です。たくさんの事例から規則を導く、帰納的な学習にあたります。AI自身が知識を獲得する仕組みの話なので、利用者が入力を工夫するプロンプトエンジニアリングとは別の概念です。
受験者神経細胞のネットワークをコンピュータで模した計算モデルというのは、ニューラルネットワークのことですか。
講師そうです。これはAIのモデルの構造についての説明です。入力文の設計を指すプロンプトエンジニアリングとは異なります。
受験者整理すると、データから規則を得るのが機械学習、神経細胞を模したモデルがニューラルネットワーク、入力待ちの記号表示がプロンプト、入力文を工夫するのがプロンプトエンジニアリング、ということですね。
講師よく整理できています。具体的な工夫としては、指示を具体的にする、前提や制約条件をはっきり書く、出力形式を指定する、出力例を示す、などがあります。出力例をいくつか示して回答の形をそろえる方法はFew-shotと呼ばれ、これもプロンプト上の工夫として知られています。
まとめ
プロンプトエンジニアリングとは、意図した回答を得るために、AIへの質問や指示の内容、与える情報、出力形式の指定などを工夫することです。「プロンプト」には、コマンドラインの入力待ち表示と、生成AIへの入力文という二つの意味があり、プロンプトエンジニアリングで扱うのは後者です。データから規則を得るのは機械学習、神経細胞を模した計算モデルはニューラルネットワークで、どちらも別の概念です。具体的な工夫には、指示を具体的にする、条件を明示する、出力形式や出力例を示す(Few-shot)などがあります。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
生成AIの活用で使われる「プロンプトエンジニアリング」の意味を問う問題です。あわせて、機械学習・プロンプト(入力待ち表示)・ニューラルネットワークといった似た用語と区別できるかも確かめています。
解き方の考え方
まず「プロンプト」がAIへの質問や指示などの入力文を指すことを思い出します。「エンジニアリング」は工夫や設計を表すので、入力文を工夫して望む回答を引き出す取組みだと考えられます。そのうえで各選択肢が何の用語の説明かを当てはめると、学習の仕組み、画面の表示、計算モデルの説明を除外でき、入力の工夫を述べた選択肢が残ります。
選択肢ごとの解説
- ×ア AIが,多数の事象やデータから普遍的なルールや知識を獲得すること多くの事象やデータから普遍的なルールや知識を得るという説明は、機械学習(帰納的な学習)にあたります。AIが知識を獲得する仕組みの話なので、利用者が入力を工夫するプロンプトエンジニアリングとは別の概念です。
- ×イ AIに対する質問や指示などが入力できる状態であることを,画面上に記号や文字列で示すこと入力できる状態であることを記号や文字列で画面に示すという説明は、入力待ち表示としての「プロンプト」のことです。コマンドラインに出る「>」などがその例です。プロンプトエンジニアリングが扱うのは表示ではなく、入力する指示の中身なので当てはまりません。
- ○ウ 意図した回答を得るためにAIに対する質問や指示の内容,情報の提供,出力形式の指定などを工夫すること意図した回答を得るために、質問や指示の内容、与える情報、出力形式の指定などを工夫するという説明は、プロンプトエンジニアリングそのものです。生成AIは入力文の内容によって回答の質や内容が大きく変わるため、こうした工夫が重視されています。
- ×エ 神経細胞が作るネットワークをコンピュータで模した,AIで用いられる計算モデルのこと神経細胞のネットワークをコンピュータ上で模した計算モデルという説明は、ニューラルネットワークにあたります。これはAIのモデルの構造についての話で、入力文の設計を指すプロンプトエンジニアリングとは異なります。
補足
「プロンプト」という語には、コマンドラインの入力待ち表示と、生成AIへの入力文という二つの意味があります。イはこの語の重なりを利用した引っかけです。また、出力例をいくつか示して回答の形をそろえる方法(Few-shot)なども、プロンプト上の工夫として知られています。
POINT
- プロンプトエンジニアリングは、AIから目的に合う回答を得るために入力(プロンプト)を工夫・最適化する技術や考え方です。
- プロンプトには、AIへの質問、命令、条件などの入力文が含まれます。
- 主な工夫には、指示を具体的にする、前提や制約条件を明示する、出力形式を指定する、出力例を示す、といったものがあります。
- データから規則を得るのは機械学習、神経細胞を模したモデルはニューラルネットワーク、入力待ちの記号表示はプロンプトです。
