システム監査の実施体制で問われる責任と独立性
基本情報技術者試験 平成29年度春期 午前 問60 / システム監査 › システム監査
過去問にチャレンジ
システム監査の実施体制に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア
監査依頼者が監査報告に基づく改善指示を行えるように,システム監査人は監査結果を監査依頼者に報告する。
- イ
業務監査の一部として情報システムの監査を行う場合には,利用部門のメンバーによる監査チームを編成して行う。
- ウ
システム監査人が他の専門家の支援を受ける場合には,支援の範囲・方法,及び監査結果の判断は,他の専門家の責任において行う。
- エ
情報システム部門における開発状況の監査を行う場合には,開発内容を熟知した情報システム部門のメンバーによる監査チームを編成して行う。
会話形式の解説
講師この問題では、報告先に加えて、監査する側と監査される側の関係に注目します。
受験者まず報告先ですが、監査結果を受けて改善指示を出すのは、監査を依頼した側という考え方でよいですか。
講師はい。監査人は結果を監査依頼者に報告します。依頼者が報告に基づいて改善指示を行えるようにする記述は適切です。
受験者利用部門の人は業務に詳しいので、業務監査の一部なら監査チームに入ってもよさそうに思いました。
講師詳しさだけでは判断できません。利用部門のメンバーは監査対象の業務と利害関係を持ち得るため、その構成では監査に必要な独立性を確保できません。
受験者開発状況の監査を、開発を担当する情報システム部門のメンバーで行う場合も同じですか。
講師そうです。自部門の開発状況を自部門のメンバーが監査することになり、独立性を損ないます。
受験者専門家の支援を受ける場合は、専門家に監査結果の判断を任せられるのでしょうか。
講師いいえ。支援の範囲と方法を決める責任も、監査結果を判断する責任も、システム監査人にあります。
受験者専門家の知見を使っても、判断の責任は監査人から移らないのですね。
講師そのとおりです。したがって、監査結果を監査依頼者に報告する記述が正解です。
受験者監査体制を選ぶときは、詳しい人かどうかだけでなく、監査対象との関係と責任の所在を確かめます。
講師はい。特に、監査対象の部門が自分たちを監査する構成と、専門家に最終判断を任せる構成を見分けましょう。
まとめ
システム監査人は、監査結果を監査依頼者に報告します。監査対象の業務を担う利用部門や開発部門のメンバーで監査チームを組むと、独立性を損ないます。専門家の支援を受けても、支援の範囲と方法を決め、監査結果を判断する責任はシステム監査人にあります。担当者の詳しさだけでなく、監査対象との関係と責任の所在を確認することが大切です。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
システム監査の報告先、監査チームの独立性、専門家の支援を受ける際の責任を問う問題です。
解き方の考え方
まず、監査結果を誰に報告するかを確認します。次に、監査チームの構成員が監査対象と利害関係を持たないか、専門家に支援を求めても監査人の責任が保たれるかを判断します。
選択肢ごとの解説
- ○ア 監査依頼者が監査報告に基づく改善指示を行えるように,システム監査人は監査結果を監査依頼者に報告する。監査結果は、監査を依頼した監査依頼者に報告します。依頼者が報告を受けて改善指示を行えるようにするという記述は、報告先として適切です。
- ×イ 業務監査の一部として情報システムの監査を行う場合には,利用部門のメンバーによる監査チームを編成して行う。イの利用部門のメンバーによる監査チームは、監査対象の業務と利害関係を持ち得ます。業務監査の一部であっても、その構成では監査に必要な独立性を確保できません。
- ×ウ システム監査人が他の専門家の支援を受ける場合には,支援の範囲・方法,及び監査結果の判断は,他の専門家の責任において行う。ウの専門家の支援では、支援の範囲と方法を決める責任はシステム監査人にあります。専門家の知見を利用しても、監査結果を判断する責任まで専門家に移るわけではありません。
- ×エ 情報システム部門における開発状況の監査を行う場合には,開発内容を熟知した情報システム部門のメンバーによる監査チームを編成して行う。エの開発状況の監査では、開発を担当する情報システム部門が監査対象です。その部門のメンバーで監査チームを組むと、自部門を監査することになり、独立性を損ないます。
POINT
- 監査の実施体制を判断するときは、監査対象と監査担当者の関係を確認します。
- 対象業務に詳しいことだけでは、監査担当者として適任とはいえません。
- 専門家の支援を受ける場合も、支援の使い方と最終判断の責任の所在を確認します。
