マナビング基本情報技術者

迂回回線を追加したときの稼働率は直列と並列をどう組み合わせるか

基本情報技術者試験 平成30年度秋期 午前 問15 / システム構成要素 › システムの評価指標

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平成30年度秋期 午前 問15

東京と福岡を結ぶ実線の回線がある。東京と福岡の間の信頼性を向上させるために,大阪を経由する破線の迂回回線を追加した。迂回回線追加後における,東京と福岡の間の稼働率は幾らか。ここで,回線の稼働率は,東京と福岡,東京と大阪,大阪と福岡の全てが0.9とする。

平成30年度秋期 午前 問15の図
  1. ア

    0.729

  2. イ

    0.810

  3. ウ

    0.981

  4. エ

    0.999

会話形式の解説

講師講師
この問題は、直列と並列を組み合わせた稼働率の計算です。図の破線が大阪を経由していて、2本の回線でできている点に注目してください。
受験者受験者
回線が3本あって、どれも稼働率が0.9なので、3本とも並列とみなして1-0.1×0.1×0.1で0.999かと思いました。
講師講師
そこが一番間違えやすいところです。東京-大阪の回線だけが動いていれば、東京と福岡は通信できますか。
受験者受験者
できません。大阪から福岡までの回線も動いていないと、福岡まで届きません。
講師講師
そうです。大阪経由で通信するには2本ともが動いている必要があるので、この2本は直列です。直列の稼働率は掛け算なので、0.9×0.9で0.81です。3本それぞれが単独で東京と福岡をつなぐわけではないので、0.999は大きすぎます。
受験者受験者
では、直通の実線と大阪経由のルートは、どちらかが使えればよいので並列ですね。
講師講師
そのとおりです。並列は「1-(すべてのルートが同時に止まる確率)」で求めます。それぞれのルートの停止確率はいくつになりますか。
受験者受験者
直通が1-0.9で0.1、大阪経由が1-0.81で0.19です。同時に止まる確率は0.1×0.19で0.019なので、1-0.019で0.981です。
講師講師
正解です。迂回側の停止確率が0.1ではなく0.19になるところが、0.999との違いです。検算には「A+B-A×B」の式も使えます。0.9+0.81-0.729で、やはり0.981になります。
受験者受験者
0.729は0.9を3回掛けた値ですよね。選択肢にもありました。
講師講師
はい。0.729は3本すべてが同時に動いている確率です。実際には直通か大阪経由のどちらか1つが使えれば足りるので、求める値より小さくなります。0.810は大阪経由のルートだけの稼働率で、直通回線が並列に入っていることを計算に入れていません。
受験者受験者
信頼性を上げるために回線を追加したのに、直通だけの0.9より低くなるのはおかしい、と考えれば外せますね。
講師講師
よい見方です。並列にすると、全体の稼働率はどの単独のルートよりも高くなります。今回は0.9より高く、1よりは低い値になるはずなので、答えの妥当性をすぐに確かめられます。
受験者受験者
まず経由地をはさむ直列部分を1つのルートにまとめて、そのあと並列の式に当てはめる、という順番で考えます。
講師講師
その手順で、もっと複雑な構成にも対応できます。最後に結果が単独のルートより高いかどうかを確かめれば、計算ミスにも気付きやすくなります。

まとめ

東京・福岡間の直通回線に、大阪を経由する迂回回線を加えたときの稼働率を求める問題です。大阪経由のルートは2本の回線がどちらも動く必要があるため直列で、稼働率は0.9×0.9=0.81になります。直通回線と大阪経由のルートはどちらかが使えればよいので並列で、1-0.1×0.19=0.981が答えです。3本をすべて並列とみなした0.999や、大阪経由だけの0.810は誤りです。並列にした結果はどの単独ルートよりも高くなることが、検算の目安になります。

解答・解説

正解はウです

この問題のテーマ

直通回線と大阪経由の迂回回線を組み合わせたとき、東京・福岡間の稼働率がどうなるかを問う問題です。直列と並列の稼働率を組み合わせて計算できるかが試されます。

解き方の考え方

図の破線は大阪を経由する迂回回線で、東京-大阪と大阪-福岡の2本があります。大阪経由で通信するには、この2本がどちらも動いていなければなりません(直列)。直通の実線と大阪経由のルートは、どちらか一方が使えれば東京と福岡が通信できるので並列です。回線の故障は互いに独立とみなし、まず直列部分を1つの経路にまとめてから、並列の式に当てはめます。 途中式は次のとおりです。①大阪経由の稼働率は 0.9×0.9=0.81 です。②各経路の停止確率は、直通が 1-0.9=0.1、大阪経由が 1-0.81=0.19 です。③2つの経路が同時に止まる確率は 0.1×0.19=0.019 です。④全体の稼働率は 1-0.019=0.981 です。 検算として、別の式 0.9+0.81-0.9×0.81=1.71-0.729=0.981 でも同じ値になり、正解のウと一致します。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  0.729
    0.729は0.9を3回掛けた値で、3本の回線がすべて同時に動いている確率にあたります。しかし、東京と福岡が通信するには、直通か大阪経由のどちらか1つの経路が使えれば十分です。全回線の稼働を条件にしているため、求める稼働率より小さくなっています。
  2. ×イ  0.810
    0.810は大阪経由のルートだけの稼働率です。直通回線が並列に入っていることが計算に含まれていません。迂回回線を追加したのに、直通回線だけの0.9より低くなるのは、信頼性を高めるために追加したことと合いません。
  3. ○ウ  0.981
    大阪経由の2回線を直列として1つの経路にまとめ、それを直通回線と並列に組み合わせて計算した値です。2つの経路が同時に止まる場合だけ通信できなくなるので、その確率を1から引くと0.981になります。
  4. ×エ  0.999
    0.999は1−0.131 - 0.1^{3}の値で、3本の回線がそれぞれ単独で東京と福岡をつなぐ並列構成とみなした場合の結果です。実際には、東京-大阪と大阪-福岡はどちらか一方が止まると大阪経由のルート全体が使えません。このため、迂回側の停止確率は0.1ではなく0.19になり、全体の値は0.999より低くなります。

補足

並列の稼働率は「A+B-A×B」という式でも計算できます。どちらの式でも同じ値になるので、検算に使えます。

POINT

  • 経由地をはさむ回線は直列で、稼働率は各回線の稼働率を掛け合わせて求めます。
  • 別々のルートが並んでいる部分は並列で、「1-(全ルートが同時に止まる確率)」で求めます。
  • 複雑な構成は、直列部分を1つの経路にまとめてから並列の計算をすると整理しやすくなります。
  • 並列にすれば、全体の稼働率はどの単独の経路よりも高くなるので、計算結果が妥当かを確かめる目安になります。

※出典:平成30年度秋期 基本情報技術者試験 午前 問15(一部改変)