フォールトトレランスと復旧対策はどう違う?
基本情報技術者試験 平成30年度春期 午前 問13 / システム構成要素 › システムの構成
過去問にチャレンジ
フォールトトレラントシステムを実現する上で不可欠なものはどれか。
- ア
システム構成に冗長性をもたせ,部品が故障してもその影響を最小限に抑えることによって,システム全体には影響を与えずに処理が続けられるようにする。
- イ
システムに障害が発生したときの原因究明や復旧のために,システム稼働中のデータベースの変更情報などの履歴を自動的に記録する。
- ウ
障害が発生した場合,速やかに予備の環境に障害前の状態を復旧できるように,定期的にデータをバックアップする。
- エ
操作ミスが発生しにくい容易な操作にするか,操作ミスが発生しても致命的な誤りにならないように設計する。
会話形式の解説
講師フォールトトレランスでは、部品が故障した後も処理を続けられるかに注目します。
受験者障害に備えるなら、変更履歴を残すことも必要に思えます。
講師履歴があれば障害の経緯を調べられます。ただ、記録するだけで故障した部品の処理をほかが引き継げますか。
受験者いいえ。調査や復旧には使えても、処理を続ける仕組みにはなりません。
講師では、定期的なバックアップはどうでしょう。予備の環境へ復旧するまでの間も処理を続けられますか。
受験者復旧のための備えですが、その間の処理継続までは示していません。
講師そうです。構成要素を重ねて用意する冗長化なら、部品が故障しても残る構成要素が役割を引き継ぎ、処理を続けられます。
受験者故障後も処理を継続できる冗長な構成が正解ですね。
講師はい。操作ミスを起こしにくくする設計は、部品の故障への備えでしょうか。
受験者いいえ。人の操作が対象で、故障した部品の役割を引き継ぐものではありません。
講師その考え方はフールプルーフと呼びます。履歴やバックアップによる事後の対応、操作ミスへの備えを、部品故障後の処理継続と区別しましょう。
まとめ
フォールトトレラントシステムでは、部品が故障しても処理を続けられる構成が必要です。冗長化によって残る構成要素が故障した部品の役割を引き継げるため、正解はアです。変更履歴とバックアップは調査や復旧に役立ちますが、それだけでは処理を継続できません。操作ミスへの備えはフールプルーフであり、対象とする原因が異なります。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
構成部品が故障しても、システム全体の処理を続けられる設計を問う問題です。
解き方の考え方
フォールトトレランスでは、故障が起きた後も処理を継続できるかを判断の軸にします。各選択肢について、障害の調査や事後の復旧に役立つだけなのか、故障した部品の役割をほかの構成要素が引き継げるのかを確かめます。
選択肢ごとの解説
- ○ア システム構成に冗長性をもたせ,部品が故障してもその影響を最小限に抑えることによって,システム全体には影響を与えずに処理が続けられるようにする。アの冗長な構成では、部品が故障しても、残る構成要素がその役割を引き継げます。故障の影響を抑えてシステム全体の処理を続けられるため、フォールトトレラントシステムの実現に必要な考え方です。
- ×イ システムに障害が発生したときの原因究明や復旧のために,システム稼働中のデータベースの変更情報などの履歴を自動的に記録する。イの変更履歴は、障害が起きた後に経緯を調べたり、復旧に利用したりできます。しかし、履歴を記録するだけでは故障した部品の処理を引き継げないので、処理の継続にはつながりません。
- ×ウ 障害が発生した場合,速やかに予備の環境に障害前の状態を復旧できるように,定期的にデータをバックアップする。ウの定期的なバックアップは、障害後にデータを復旧するための備えです。予備の環境へ復旧するまでの間も処理を続ける仕組みを示しているわけではないため、設問の条件を満たしません。
- ×エ 操作ミスが発生しにくい容易な操作にするか,操作ミスが発生しても致命的な誤りにならないように設計する。エの操作ミスを起こしにくくし、起きても深刻な結果を避ける設計は、フールプルーフの考え方です。対象は人の操作であり、部品が故障したときに処理を引き継ぐ構成ではありません。
POINT
- フォールトトレランスでは、一部の故障後も処理を続けられることが判断の中心です。
- 構成要素の冗長化は、故障した部品の役割を引き継ぐ手段になります。
- 履歴の記録とバックアップは調査や復旧に役立ちますが、それだけで処理を継続できるとはいえません。
- 操作ミスへの備えと部品故障への備えは、対象とする原因が異なります。
