システム監査人の指摘と命令は何が違う?
基本情報技術者試験 平成30年度春期 午前 問58 / システム監査 › システム監査
過去問にチャレンジ
システム監査人の行為のうち,適切なものはどれか。
- ア
調査が不十分な事項について,過去の経験に基づいて監査意見をまとめた。
- イ
調査によって発見した問題点について,改善指摘を行った。
- ウ
調査の過程で発見した問題点について,その都度,改善を命令した。
- エ
調査の途中で当初計画していた期限がきたので,監査報告書の作成に移った。
会話形式の解説
講師この問題では、監査人が何を根拠に判断し、問題点に対してどこまで行えるかを確かめます。
受験者経験が豊富なら、調査が十分でなくても意見を出せる気がします。
講師その組織で実際に何が起きているか、確認できていますか。監査意見には、確認した事実と監査証拠、つまり判断を裏付ける材料が必要です。
受験者過去の経験は調査の手掛かりにはなっても、それだけでは今回の意見の根拠にならないのですね。
講師そのとおりです。では、調査で問題点を確認できた場合、改善を指摘するのはどうでしょうか。
受験者確認した事実に基づいているので、改善の指摘は適切です。
講師そうです。ただし、改善を指摘することと、改善を命令することは違います。監査人に命令する権限はありません。
受験者問題点を見つけるたびに改善を命令する行為は、権限を超えてしまうのですね。
講師その理解でよいです。最後に、予定していた期限が来たら、調査の途中でも報告書の作成へ移れるでしょうか。
受験者期限が来ただけでは、必要な調査が終わったとはいえません。報告の根拠が不足する可能性があります。
講師そのとおりです。予定期限だけを理由に調査を打ち切るのは不適切です。
受験者つまり、調査で確認した問題点の改善を指摘する行為が適切なのですね。
まとめ
監査意見は、対象組織について確認した事実と監査証拠に基づいて形成します。調査で確認した問題点について、監査人が改善を指摘する行為は適切です。一方、監査人には改善を命令する権限がありません。過去の経験だけで意見をまとめたり、期限だけを理由に必要な調査を打ち切ったりすることも不適切です。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
システム監査人が、調査結果に基づいてどこまで意見や指摘を述べられるかを問う問題です。
解き方の考え方
監査人の判断には、調査で確認した事実と監査証拠が必要です。そのうえで、問題点を指摘する行為と、改善を命令する行為を区別します。調査の完了についても、予定の期限だけで判断しないことが大切です。
選択肢ごとの解説
- ×ア 調査が不十分な事項について,過去の経験に基づいて監査意見をまとめた。調査が不十分な事項については、その組織で何が起きているかを確かめられていません。過去の経験は調査の手掛かりにはなっても、それだけを根拠に監査意見をまとめることはできません。
- ○イ 調査によって発見した問題点について,改善指摘を行った。調査で問題点を確認できたのであれば、監査人はその改善を指摘できます。確認した事実に基づく指摘であり、監査人の役割に合っています。
- ×ウ 調査の過程で発見した問題点について,その都度,改善を命令した。発見した問題点を伝えることと、その都度改善を命令することは異なります。監査人には改善を命令する権限がないため、この行為は適切ではありません。
- ×エ 調査の途中で当初計画していた期限がきたので,監査報告書の作成に移った。当初の期限が来ても、必要な調査が終わっていなければ報告の根拠が不足します。期限の到来だけを理由に調査を打ち切り、監査報告書の作成へ移ることはできません。
POINT
- 監査意見は、対象組織について確認した事実と監査証拠に基づいて形成します。
- 監査人は確認した問題点の改善を指摘できます。
- 改善の指摘は、改善を命令する権限を意味しません。
