著作権法の保護対象とアイデアの違いを見分ける
ITパスポート試験 令和3年度 問7 / 法務 › 知的財産権
過去問にチャレンジ
著作権法によって保護の対象と成り得るものだけを、全て挙げたものはどれか。 a インターネットに公開されたフリーソフトウェア b データベースの操作マニュアル c プログラム言語 d プログラムのアルゴリズム
- ア
a,b
- イ
a,d
- ウ
b,c
- エ
c,d
会話形式の解説
講師今回は、ソフトウェアに関係する4つのもののうち、どれが著作権法で保護され得るかを選ぶ問題です。注目点は、著作権法が守るのは創作的な「表現」で、アイデアや考え方そのものは守らない、という線引きです。
受験者プログラムに関係するものは全部保護されそうに思えてしまいます。でも、インターネットで無料公開されているフリーソフトウェアは、誰でも自由に使えるので保護の対象外ではないでしょうか。
講師無料で使えることと、保護されないことは分けて考えます。フリーソフトウェアもプログラムなので、著作物になり得ます。無償で公開されていても、著作権がなくなるわけではなく、利用の条件は権利者が決めます。
受験者無料で配られていることと、権利を手放していることは別なのですね。では、データベースの操作マニュアルはどうですか。ただの説明書なので、保護されないようにも感じます。
講師マニュアルも文章で書かれた文書です。文章や構成に創作性があれば、著作物として保護されます。説明書だからといって対象外にはなりません。
受験者プログラム言語はどうでしょうか。プログラムを書くのに使うものなので、プログラムと同じように保護されると思っていました。
講師プログラム言語は、プログラムを書くための記号や文法の体系です。表現そのものではなく表現の道具にあたるので、保護の対象外です。その言語で書かれた個々のプログラムが保護され得る、と区別してください。
受験者アルゴリズムも、処理の手順という考え方なので、同じように保護の対象外ということでしょうか。
講師そのとおりです。アルゴリズムは解法、つまりアイデアなので、著作権法の保護の対象外です。そうすると、アルゴリズムを含む組合せや、プログラム言語を含む組合せは誤りになります。
受験者整理すると、保護され得るのはフリーソフトウェアと操作マニュアルの2つだけです。その2つだけを挙げた「a,b」の組合せが正解ですね。
講師はい、正解です。補足すると、アルゴリズムのような技術的なアイデアは、条件を満たせば特許権など別の制度で保護されることがあります。著作権と混同しないように注意してください。
受験者「具体的な表現かどうか」で判断し、アイデアは著作権では守られない、と覚えておきます。
まとめ
著作権法が保護するのは、思想や感情を創作的に表現したものです。プログラムやマニュアルの文章は表現にあたるため、著作物として保護され得ます。一方、プログラム言語(記号や文法の体系)とアルゴリズム(処理の手順という考え方)は、保護の対象外です。フリーソフトウェアは無償で公開されていても著作権は失われないため、保護され得るのはフリーソフトウェアと操作マニュアルの組合せになります。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
ソフトウェアに関わる4つのもののうち、著作権法で保護され得るものの組合せを選ぶ問題です。作品としての「表現」は保護され、プログラム言語や解法は保護されない、という違いを使って選びます。
解き方の考え方
最初に、著作権法が保護するのは思想や感情を創作的に表現したものだ、と確かめます。次に、a〜dのそれぞれが具体的な表現なのか、表現の道具や考え方なのかを照らします。プログラムとマニュアルは表現なので、保護され得ます。一方、プログラム言語とアルゴリズムは道具や考え方なので、対象外です。したがって、aとbだけを挙げたアを選びます。
選択肢ごとの解説
- ○ア a,baのフリーソフトウェアはプログラムなので、著作物になり得ます。無償でインターネットに公開されていても、著作権がなくなるわけではありません。bのデータベースの操作マニュアルも、文章や構成に創作性があれば保護されます。保護され得るものだけをすべて挙げているので、アが正解です。
- ×イ a,daのフリーソフトウェアは保護され得ますが、dのプログラムのアルゴリズムは処理の手順という考え方なので、保護の対象外です。また、保護され得るbの操作マニュアルが含まれていません。
- ×ウ b,cbの操作マニュアルは保護され得ますが、cのプログラム言語は、プログラムを書くための記号や文法の体系です。このようなもの自体は保護の対象外です。また、保護され得るaのフリーソフトウェアが含まれていません。
- ×エ c,dcのプログラム言語も、dのアルゴリズムも、著作権法の保護の対象外です。保護され得ないものだけの組合せなので、誤りです。
補足
「無料で公開されているから自由に使える」と考えてしまいがちですが、フリーソフトウェアにも著作権があり、利用の条件は権利者が決めます。アルゴリズムのような技術的なアイデアは、条件を満たせば特許権など別の制度で保護されることがあります。著作権と混同しないように注意してください。
POINT
- 著作権法が保護するのは創作的な「表現」で、アイデアや考え方そのものは保護されません。
- プログラムは著作物になり得ますが、プログラム言語とアルゴリズム(解法)そのものは保護の対象外です。
- フリーソフトウェアのように無償で公開されていても、著作権は失われません。
- マニュアルなどの文書も、創作性があれば著作物として保護されます。
