著作権と特許権の違いを、発生条件と保護対象で整理する
ITパスポート試験 令和4年度 問1 / 法務 › 知的財産権
過去問にチャレンジ
著作権及び特許権に関する記述a〜cのうち、適切なものだけを全て挙げたものは どれか。 a偶然二つの同じようなものが生み出された場合,発明に伴う特許権は両方に認 められるが、著作権は一方の著作者にだけ認められる。 b ソフトウェアの場合、特許権も著作権もソースプログラムリストに対して認め られる。 c 特許権の取得には出願と登録が必要だが、著作権は出願や登録の必要はない。
- ア
a,b
- イ
b
- ウ
b,c
- エ
c
会話形式の解説
講師この問題は、著作権と特許権の違いを3つの観点で比べています。似たものが偶然二つ生まれたときの扱い、ソフトウェアのどの部分が守られるか、権利を得るのに手続が必要か、の3つです。記述を一つずつ判定してから、組合せを選びましょう。
受験者cの「特許は出願と登録が必要で、著作権はいらない」は正しいと思います。ただ、aは自信がありません。偶然同じものができたら、どちらにも権利がありそうな気もします。
講師cの判断は合っています。特許権は出願し、審査を経て登録されて初めて発生します。著作権は創作した時点で自動的に発生し、出願も登録もいりません。この仕組みを無方式主義(手続なしで権利が生まれる仕組み)といいます。
受験者では、aの「どちらにも権利がある」というのは、特許と著作権のどちらに当てはまるのでしょうか。
講師当てはまるのは著作権のほうです。それぞれが独自に創作した著作物なら、似ていても両方に著作権が成立します。一方、日本の特許は先願主義、つまり先に出願した人を優先する仕組みなので、同じ発明に特許権が二つ成立することはありません。
受験者そうすると、aは特許権と著作権の扱いが逆になっているので不適切ですね。
講師そのとおりです。二つの権利を入れ替えた記述は、よくある引っかけです。では、ソースプログラムリストについてのbはどうでしょう。
受験者プログラムは発明にも見えるので、特許でも著作権でも守られるのかと思っていました。
講師ソースプログラムリストは、プログラムの著作物として著作権で保護されます。ただ、リストは情報を表示したものにすぎず、技術的思想ではないので、特許権の対象にはなりません。特許の対象になり得るのは、プログラムが実現する処理方法など、技術的思想として具体化された発明のほうです。
受験者つまり、bは「特許権も」と書いている部分が誤りなのですね。そうすると、bを含む組合せはどれも選べません。
講師はい。aとbの組合せはどちらも誤り、bだけの組合せも誤りです。bとcの組合せは、cが正しくてもbが誤りなので選べません。適切なのはcだけなので、cだけを挙げた選択肢が正解です。
受験者整理すると、特許は手続が必要で先に出願した一方だけ、著作権は自動で発生して独自の創作ならそれぞれに成立、ソースリストを守るのは著作権、ということですね。
講師よくまとまっています。「独占が強いのは特許権、独自に創作すれば別々に成立するのは著作権」と覚えておくと判断しやすくなります。あわせて、著作権で保護されるのはプログラムの表現で、アルゴリズムやプログラム言語そのものは保護されない点も押さえておきましょう。
まとめ
この問題は、著作権と特許権の違いを、権利の発生条件・ソフトウェアの保護対象・偶然似たものが生まれたときの扱いの3点から問うものです。特許権は出願・審査・登録を経て発生し、著作権は創作した時点で自動的に発生します(無方式主義)。日本の特許は先願主義なので同じ発明に特許権は一つしか成立しませんが、独自に創作された著作物にはそれぞれ著作権が成立します。ソースプログラムリストは著作権で保護されますが、特許権の対象にはなりません。したがって適切な記述はcだけで、正解はエです。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
著作権と特許権について、a〜cの記述のうち適切なものを全て選ぶ問題です。比べる点は、権利が生まれる条件、ソフトウェアのどの部分が守られるか、似たものが偶然二つできたときの扱いの3つです。
解き方の考え方
最初に、a〜cを一つずつ適切かどうか判定します。aでは、似たものが偶然二つ生まれた場合の扱いを確かめます。特許は先願主義(先に出願した人を優先する仕組み)なので、同じ発明に二つの特許権は成立しません。一方、著作権は、それぞれが独自に創作したなら両方に成立します。したがって、aは逆になっていて不適切です。bは、ソースプログラムリストを特許権の対象としている点が不適切です。cは事実どおりで適切です。以上から、適切なものはcだけです。
選択肢ごとの解説
- ×ア a,ba、bの組合せです。aは、特許権を両方に認め、著作権を一方だけに認めるとしています。実際の扱いは逆なので誤りです。bも、ソースプログラムリストに特許権が認められるとしている点が誤りです。したがって、アは選べません。
- ×イ bbだけの組合せです。ソースプログラムリストは、著作権では保護されますが、特許権の対象ではありません。リストは情報を表示したものにすぎず、技術的思想ではないからです。特許の対象になり得るのは、プログラムが実現するアルゴリズムなどの発明です。したがって、bは不適切で、イは誤りです。
- ×ウ b,cb、cの組合せです。cは、特許権には出願と登録が必要で著作権には不要という内容で、正しい記述です。しかし、bは、ソースプログラムリストに特許権も認められるとしていて誤りです。したがって、bを含むウは選べません。
- ○エ ccだけの組合せです。特許権は出願し、審査を経て登録されて初めて発生します。著作権は創作した時点で自動的に発生し、出願も登録もいりません。適切な記述はcだけなので、エが正解です。
補足
特許権と著作権は取り違えやすいので、次のように整理しておくと判断しやすくなります。同じ発明には先に出願した一方にだけ特許権が成立し、独自に創作した著作物にはそれぞれ著作権が成立します。また、ソフトウェアのうち著作権で保護されるのはプログラムの表現です。アルゴリズムやプログラム言語そのものは保護されない点も、あわせて押さえておきましょう。
POINT
- 特許権は出願・審査・登録を経て発生し、著作権は創作した時点で自動的に発生します(無方式主義)。
- 日本の特許は先願主義なので、同じ発明には先に出願した一方にしか特許権が認められません。
- 独自に創作された似た著作物には、それぞれに著作権が成立します。
- ソースプログラムリスト(表現)は著作権で保護され、特許の対象になるのはアルゴリズムなどの技術的な発明です。
