マナビングITパスポート

MVPと短期の仮説検証で新規事業を進める手法を見分ける

ITパスポート試験 令和5年度 問1 / 技術戦略マネジメント › 技術開発戦略の立案・技術開発計画

過去問にチャレンジ

令和5年度 問1

新しいビジネスモデルや製品を開発する際に,仮説に基づいて実用に向けた最小限のサービスや製品を作り,短期に顧客価値の検証を繰り返すことによって,新規事業などを成功させる可能性を高める手法を示す用語はどれか。

  1. ア

    カニバリゼーション

  2. イ

    業務モデリング

  3. ウ

    デジタルトランスフォーメーション

  4. エ

    リーンスタートアップ

会話形式の解説

講師講師
この問題では、問題文にある手がかりを拾うのが大事です。「仮説に基づく」「実用最小限の製品」「短期に検証を繰り返す」「新規事業」の4つです。もう一つ、選択肢の用語が手法の名前なのか、現象や取組全体の呼び名なのかも見分けます。
受験者受験者
新規事業という言葉があるので、私は最初デジタルトランスフォーメーションかなと思いました。新しい価値を生み出す、というイメージがあったので。
講師講師
その連想は自然です。ただ、デジタルトランスフォーメーション、つまりDXは、デジタル技術で事業や組織を変えて新しい価値を生み出す取組の総称です。範囲がとても広い概念なので、「最小限の製品をつくって短期の検証を繰り返す」という具体的な進め方を表す言葉ではありません。
受験者受験者
なるほど、DXは大きな方向性の話で、進め方の手順までは決めていないということですね。では、最小限の製品というのは何と呼ぶのでしょうか。
講師講師
MVP、Minimum Viable Productといいます。仮説を確かめるための実用最小限の製品やサービスのことです。リーンスタートアップでは、仮説をもとにMVPをつくって顧客の反応を見て、改良します。構築・計測・学習のサイクルを小さく短く回すので、問題文の4つの手がかりにすべて当てはまります。
受験者受験者
カニバリゼーションもカタカナで、何となく新商品の話だった気がして迷いました。
講師講師
新商品に関係するのは合っています。カニバリゼーションは「共食い」という意味で、自社の新商品が似た既存商品の売上を奪ってしまう現象を指します。起きてしまう影響の名前なので、仮説を検証して事業を進める手法ではありません。
受験者受験者
現象と手法の違いですね。業務モデリングは、業務を図にするものだったと思いますが、それで合っていますか。
講師講師
合っています。業務の流れや構造をE-R図、DFD、フローチャートなどで図にして、見えるようにすることです。目的は業務の分析や改善なので、製品を市場に出して顧客価値を確かめる話とは別のものです。
受験者受験者
整理すると、MVPで仮説を検証して短く繰り返す手法がリーンスタートアップ、DXは変革の総称、カニバリゼーションは共食いの現象、業務モデリングは業務の図示、ということですね。
講師講師
そのとおりです。補足すると、リーンスタートアップは、トヨタ生産方式に由来するリーン生産方式の「無駄のない」という着想を、起業の進め方に応用したものです。検証の結果によって、今の方針で改善を続けるか、方向転換、つまりピボットするかを判断します。

まとめ

新規事業の開発で、仮説をもとに実用最小限の製品(MVP)をつくり、顧客価値の検証を短い期間で繰り返す手法はリーンスタートアップです。構築・計測・学習のサイクルを小さく速く回して、無駄と失敗を減らすことを目指します。カニバリゼーションは自社の新商品が既存商品の売上を奪う「共食い」の現象です。業務モデリングは業務を図にして見えるようにすることで、DXはデジタル技術による事業や組織の変革を指す広い概念です。検証の結果によって、改善を続けるかピボット(方向転換)するかを判断します。

解答・解説

正解はエです

この問題のテーマ

新規事業や新製品を開発するときに、最小限の製品をつくって顧客価値を短い期間で検証し、それを繰り返す手法の名前を問う問題です。

解き方の考え方

問題文の手がかりは「仮説に基づく」「実用に向けた最小限のサービスや製品」「短期に検証を繰り返す」「新規事業」の4つです。選択肢の用語が「手法」を指すのか、「現象」や「取組の総称」を指すのかを区別します。そのうえで、最小限の製品による仮説検証を中心に置いた方法論はどれかを考えます。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  カニバリゼーション
    カニバリゼーションは「共食い」という意味の言葉です。自社が出した新商品が、似た既存商品の売上を奪ってしまう現象を指します。自社の商品どうしが競合することで起きる影響の名前であり、仮説を検証して新規事業を進める手法ではありません。
  2. ×イ  業務モデリング
    業務モデリングは、業務の流れや構造をE-R図、DFD、フローチャートなどで図にして見えるようにすることです。目的は業務の分析や改善で、最小限の製品を市場に出して顧客価値を確かめる手法ではありません。
  3. ×ウ  デジタルトランスフォーメーション
    デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術を使って事業や組織を変え、新しい価値を生み出す取組です。広い範囲を指す概念であり、最小限の製品をつくって短期の検証を繰り返すという具体的な進め方を表す用語ではありません。
  4. ○エ  リーンスタートアップ
    リーンスタートアップでは、仮説をもとに実用最小限の製品(MVP)をつくり、顧客の反応を見て改良します。構築・計測・学習のサイクルを小さく短く回すことで、起業や新製品開発での無駄と失敗を減らします。問題文の条件すべてに当てはまります。

補足

リーンスタートアップは、トヨタ生産方式に由来する「リーン(無駄のない)」という考え方を起業の進め方に応用したものです。検証の結果によっては、今の方針で改善を続けるか、方向転換(ピボット)するかを判断します。

POINT

  • リーンスタートアップは、仮説に基づいてMVPをつくり、顧客価値の検証を短い期間で繰り返す新規事業の手法です。
  • MVP(Minimum Viable Product)は、仮説を検証するための実用最小限の製品やサービスのことです。
  • 構築・計測・学習のサイクルを小さく速く回し、無駄と失敗を減らすことを目指します。
  • カニバリゼーションは、自社の新商品が既存商品の売上を奪う「共食い」の現象です。
  • 業務モデリングは業務を図にして見えるようにすること、DXはデジタル技術による事業や組織の変革を指します。

※出典:令和5年度 ITパスポート試験 問1