著作権法の著作物の定義と、講演・時刻・発明の見分け方
ITパスポート試験 令和5年度 問2 / 法務 › 知的財産権
過去問にチャレンジ
次のa~cのうち,著作権法によって定められた著作物に該当するものだけを全て挙げたものはどれか。 a 原稿なしで話した講演の録音 b 時刻表に掲載されたバスの到着時刻 c 創造性の高い技術の発明
- ア
a
- イ
a,c
- ウ
b,c
- エ
c
会話形式の解説
講師今回は、講演の録音・バスの到着時刻・技術の発明のうち、著作権法でいう「著作物」に当たるものを選ぶ問題です。著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」で、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものです。3つが「創作的な表現」なのか、「事実」や「アイデア」なのかに注目してください。
受験者私は最初、創造性の高い技術の発明が一番著作物らしいと思いました。「創造性」という言葉が入っているので。
講師ここで区別したいのは、表現とアイデアの違いです。著作権法が守るのは表現で、アイデアそのものは対象外です。発明は技術的なアイデアなので、著作権ではなく主に特許法、つまり産業財産権で保護されます。「創造性が高い」と書かれていても、それは変わりません。
受験者発明は特許の話なんですね。では、講演と発明の組合せや、発明だけを選ぶ組合せは外れるということですか。
講師そのとおりです。発明を含む組合せは、その時点で誤りになります。次に、バスの到着時刻はどうでしょう。
受験者時刻表は誰かが作ったものなので、守られそうな気もします。でも、到着時刻そのものは決まった数字ですよね。
講師よいところに気づきました。何時何分に着くというのは単なる事実で、創作的な表現ではありません。ですから、到着時刻は著作物に当たりません。到着時刻と発明の組合せは、どちらも著作物でないうえに、著作物である講演が入っていないので二重に誤りです。
受験者残るのは講演ですが、原稿なしで話しているので、文章として残っていません。それでも著作物になるのが少し意外です。
講師話し手の考えを言葉で創作的に表現しているので、口頭のものでも言語の著作物に当たります。前もって文章になっている必要はありません。問題文は「講演の録音」となっていますが、録音されている中身は講演という言語の著作物であり、原稿がなくても著作物だと考えます。
受験者整理すると、講演は創作的な表現なので著作物、到着時刻は事実、発明はアイデアで特許法の対象なので、どちらも著作物ではない。だから講演だけを挙げた組合せが正解ですね。
講師そのとおりです。補足すると、個々の時刻は著作物になりませんが、情報の選び方や並べ方に創作性があれば、全体が編集著作物やデータベースの著作物として保護されることがあります。「時刻表だから一切保護されない」と決めつけないようにしてください。
受験者個々のデータと、まとめ方の工夫は分けて考えるわけですね。
講師はい。もう一つよく出るのが、プログラムは著作物として保護されるのに、プログラム言語やアルゴリズム、つまり解法は保護の対象外という点です。これも表現とアイデアを区別する考え方なので、あわせて覚えておくと役立ちます。
まとめ
著作権法の著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したもので、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものです。原稿なしの講演も口頭による創作的な表現なので言語の著作物に当たり、その録音の中身も著作物と考えます。バスの到着時刻は単なる事実、技術の発明はアイデアであり、発明は著作権ではなく特許法などの産業財産権で保護されます。そのため、講演だけを挙げた組合せが正解です。なお、情報の選び方や並べ方に創作性があれば編集著作物などとして保護されることがあり、アルゴリズムは保護の対象外である点もあわせて押さえておきましょう。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
講演・時刻表の時刻・技術の発明の3つについて、著作権法上の「著作物」に当たるかどうかを見分ける問題です。著作物の定義を正しく理解しているかが問われています。
解き方の考え方
最初に、著作物の定義を確かめます。著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」で、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものです。次に、a~cのそれぞれを、創作的な表現なのか、事実やアイデアなのかに分けます。著作権法が守るのは表現であり、事実やアイデアそのものは対象外です。発明は特許法などの産業財産権で保護されるので、cは先に外せます。
選択肢ごとの解説
- ○ア aaは、原稿なしの講演の録音です。話し手の考えを言葉で創作的に表現したもので、言語の著作物に当たります。前もって文章になっていなくても同じです。一方、bのバスの到着時刻は事実で、cの発明はアイデアなので、どちらも著作物ではありません。したがって、aだけを挙げたアが正解です。
- ×イ a,caの講演は著作物ですが、cの創造性の高い技術の発明は著作物ではありません。発明は技術的なアイデアであり、主に特許法で保護されます。cを含んでいるため、この組合せは誤りです。
- ×ウ b,cbのバスの到着時刻は事実そのものなので、創作的な表現には当たりません。cの発明もアイデアなので著作物ではありません。さらに、著作物であるaが入っていないため、二重に誤りです。
- ×エ ccの技術の発明は、「創造性が高い」とあっても著作権ではなく特許法などで保護される対象です。また、著作物に当たるaが含まれていません。そのため、cだけを挙げたこの組合せは誤りです。
補足
時刻のような個々のデータは著作物になりませんが、情報の選び方や並べ方に創作性があれば、全体が編集著作物やデータベースの著作物として保護されることがあります。「時刻表だから一切保護されない」と決めつけないように注意してください。また、プログラムは著作物として保護されますが、プログラム言語やアルゴリズム(解法)は保護の対象外です。cのように「創造性の高い」と書かれていても、発明は著作権の対象外です。言葉の印象に引っ張られないようにしましょう。
POINT
- 著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したもので、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものです。
- 著作権法が保護するのは創作的な表現であり、事実やアイデアそのものは保護しません。
- 原稿のない講演のように口頭で表現したものも、言語の著作物になります。
- 発明は著作権ではなく、特許法などの産業財産権で保護されます。
