資本活用の効率性を示す経営指標をどう見分けるか
ITパスポート試験 令和5年度 問20 / 企業活動 › 会計・財務
過去問にチャレンジ
資本活用の効率性を示す指標はどれか。
- ア
売上高営業利益率
- イ
自己資本比率
- ウ
総資本回転率
- エ
損益分岐点比率
会話形式の解説
講師今回は財務の経営指標の問題です。指標は大きく「収益性」「安全性」「効率性」の観点に分けられます。問われているのは資本をどれだけ効率よく使えているかなので、それぞれの指標が何を何で割っているかに注目しましょう。
受験者「資本」と聞いて、名前に資本が入っている自己資本比率が気になりました。でも総資本回転率にも資本が入っていて、どちらにするか迷います。
講師両方に「資本」が入っているので紛らわしいところです。自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率です。返済の必要がない資金がどれだけの割合かを表すので、財務の安定性や健全性、つまり安全性を見る指標です。
受験者資本の中身の割合を見ているだけなので、その資本で売上をどれだけ生んだかは分からない、ということですね。
講師そのとおりです。一方、総資本回転率は売上高を総資本で割って求め、単位は「回」です。投じた資本が売上として何回転したかを示します。たとえば総資本100で売上高が200なら、200÷100で2回です。
受験者値が高いほど、少ない資本で多くの売上を上げているということでしょうか。
講師はい。だから資本活用の効率性を示す指標は総資本回転率で、これが正解です。残りの二つも確認しておきましょう。売上高営業利益率はどうでしょう。
受験者営業利益を売上高で割るので、売上のうち本業の利益がどれだけ残ったかを見る収益性の指標だと思います。資本は計算に入っていません。
講師その理解で合っています。資本の大きさが入らないので、資本活用の効率性は直接分かりません。最後の損益分岐点比率は、損益分岐点売上高を実際の売上高で割った比率です。損益分岐点とは、売上と費用が等しくなって利益が0になる売上高のことです。
受験者名前に「利益」に近い言葉が入っているので、収益性の指標かと思っていました。
講師収益の構造を使いますが、見ているのは経営の安全性です。この比率が低いほど、売上が減っても赤字になりにくい余裕があると判断します。
受験者整理すると、利益率は収益性、自己資本比率と損益分岐点比率は安全性、回転率は効率性ですね。
講師はい。ただし、名前の語尾だけで決めつけず、何を何で割るかで観点を判断するのが確実です。関連して、ROA(総資本利益率)は利益を総資本で割った指標で、「売上高利益率×総資本回転率」に分解できます。つまりROAは収益性と効率性の両方の影響を受けます。
まとめ
経営指標は主に収益性・安全性・効率性の観点に分けられ、資本活用の効率性を示すのは、売上高を総資本で割る総資本回転率です。単位は「回」で、値が高いほど少ない資本で多くの売上を上げていることを表します。売上高営業利益率は営業利益を売上高で割る収益性の指標、自己資本比率は自己資本を総資本で割る安全性の指標です。損益分岐点比率は損益分岐点売上高を実際の売上高で割る安全性の指標で、低いほど売上減少への余裕が大きくなります。指標名の語尾だけで決めつけず、何を何で割るかで観点を判断するのが確実です。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
代表的な経営指標を「収益性」「安全性」「効率性」に分けたとき、資本をどれだけ効率よく使えているかを表す指標を選ぶ問題です。
解き方の考え方
選択肢の指標を、それぞれ「何を何で割るか」と「どの観点の指標か」で整理します。「利益率」は収益性、「自己資本比率」や「損益分岐点比率」は安全性、「回転率」は効率性を表すのが基本です。資本の効率性を問われているので、資本に対して売上が何回転したかを見る指標を選びます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 売上高営業利益率売上高営業利益率は、営業利益を売上高で割った比率です。売上のうちどれだけが本業の利益として残ったかを示す収益性の指標です。資本の大きさは計算に入らないため、資本活用の効率性は直接わかりません。
- ×イ 自己資本比率自己資本比率は、自己資本を総資本で割った比率です。返済の必要がない資金の割合を表し、財務の安定性や健全性、つまり安全性を見る指標です。資本で売上をどれだけ生んだかという効率性は示しません。
- ○ウ 総資本回転率総資本回転率は、売上高を総資本で割って求め、単位は「回」です。投じた資本が1年間で売上として何回転したかを示し、値が高いほど少ない資本で多くの売上を上げていることになります。たとえば総資本100、売上高200なら、200÷100=2回です。資本活用の効率性を示す指標なので、これが正解です。
- ×エ 損益分岐点比率損益分岐点比率は、損益分岐点売上高を実際の売上高で割った比率です。損益分岐点とは、売上と費用が等しくなり利益が0になる売上高のことです。この比率は収益構造から見た経営の安全性を示し、低いほど売上が減っても赤字になりにくい余裕があると判断します。
補足
指標名に「率」が付いていても観点はさまざまなので、「比率」か「利益率」か「回転率」かで区別すると判断しやすくなります。また、ROA(総資本利益率)は利益を総資本で割った指標で、「売上高利益率×総資本回転率」に分解できます。この分解から、ROAは収益性と効率性の両方の影響を受けることがわかります。
POINT
- 総資本回転率は「売上高÷総資本」で求め、単位は「回」です。
- 総資本回転率は高いほど、資本を効率よく活用していると評価されます。
- 利益率は収益性、自己資本比率は安全性、回転率は効率性の代表的な指標です。
- 損益分岐点比率は安全性の指標で、低いほど売上減少への余裕が大きいことを表します。
