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システム監査人の独立性、2つの空欄を手がかりから読み解く

ITパスポート試験 令和5年度 問37 / システム監査 › システム監査

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令和5年度 問37

システム監査人の行動規範に関して,次の記述中のa,bに入れる字句の適切な組合せはどれか。 システム監査人は,監査対象となる組織と同一の指揮命令系統に属していないなど,a上の独立性が確保されている必要がある。また,システム監査人はb立場で公正な判断を行うという精神的な態度が求められる。

令和5年度 問37の図
  1. ア

    a:外観,b:客観的な

  2. イ

    a:経営,b:被監査側の

  3. ウ

    a:契約,b:経営者側の

  4. エ

    a:取引,b:良心的な

会話形式の解説

講師講師
今回はシステム監査人の「独立性」がテーマです。監査人の独立性は2種類に分けて整理されます。空欄aの直前にある例と、空欄bの後ろにある「精神的な態度」という言葉が手がかりになります。
受験者受験者
aの前には「同一の指揮命令系統に属していない」とあります。組織の話なので「経営上の独立性」かと思ったのですが、違いますか。
講師講師
組織の話だと気づいたのは良いところです。ただ、システム監査基準で監査人の独立性として示されている区分は「外観上」と「精神上」の2つです。経営上、契約上、取引上という言い方は、この区分には当たりません。
受験者受験者
「外観」は見た目という意味ですよね。指揮命令系統と見た目がどう結びつくのか、まだよく分かりません。
講師講師
ここでの「外観」は、第三者から見てどう見えるか、という意味です。監査対象と同じ指揮命令系統、つまり同じ上司の命令を受ける立場にいると、周りからは監査対象の影響を受けているように見えてしまいます。そこから外れていて、外から見ても影響を受けない状態が外観上の独立性です。
受験者受験者
なるほど、組織上の位置づけが周りからどう見えるかの話なのですね。では、bは心の持ち方のほうでしょうか。
講師講師
そのとおりです。判断をゆがめる要因に左右されない心の状態が精神上の独立性です。文中の「公正な判断」につながるのは、どちらにも偏らない「客観的な」立場です。
受験者受験者
「被監査側の」や「経営者側の」は、どちらかの側に寄ってしまうので、公正とはいえないということですね。
講師講師
はい。監査される側の立場で判断すれば、その側に有利な評価になりかねません。経営者側に立つのも特定の側に寄った見方なので、監査に必要な客観性を失わせます。
受験者受験者
私が一番迷ったのは「良心的な」です。誠実に判断するのは良いことのように思えます。
講師講師
誠実さは大切ですが、「良心的」は誠実さを表す言葉で、bに求められる「偏りのない立場」とは別の概念です。もっともらしく見える言葉ほど、意味の違いに注意してください。
受験者受験者
整理すると、aは組織上の位置づけで第三者から見て影響を受けない「外観上の独立性」、bは偏らずに判断する「客観的な」立場、ということですね。両方がそろうのは、外観と客観的なの組合せです。
講師講師
正解です。補足すると、監査人が監査対象と同じ指揮命令系統の中にいると、利害関係が生じて公平な監査がしにくくなります。客観性が保てなければ、監査結果の品質や信頼性も大きく下がります。独立性は「外観上」と「精神上」の2つでセットにして覚えておきましょう。

まとめ

システム監査人に求められる独立性は、「外観上の独立性」と「精神上の独立性」の2つに分けて整理されます。監査対象と同一の指揮命令系統に属さないなど、第三者から見て影響を受けない組織上の状態が外観上の独立性です。精神上の独立性は、判断をゆがめる要因に左右されず、客観的な立場から公正に判断する心の状態を指します。被監査側や経営者側に立つ判断は客観性を損ないます。また「良心的」は誠実さを表す言葉で、偏りのなさを意味する「客観的」とは別の概念です。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

システム監査人に求められる独立性の考え方を問う問題です。組織上の位置づけに関する独立性と、判断するときの心の持ち方の2つを、正しい用語で答えられるかがポイントです。

解き方の考え方

空欄ごとに、前後の手がかりから考えます。aの直前には「同一の指揮命令系統に属していない」という例があります。これは組織の形が周りからどう見えるかの話なので、外観上の独立性に当たります。bは「精神的な態度」として公正な判断を求める文なので、監査対象にも経営者にも偏らない「客観的な」立場が入ります。両方がそろうのはアの組合せだけです。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  a:外観,b:客観的な
    aを外観、bを客観的なとするこの組合せは、監査基準で使われる独立性の用語と一致します。指揮命令系統から離れていることは、第三者から見ても監査対象の影響を受けない状態、つまり外観上の独立性を確保することです。そのうえで、客観的な立場から公正に判断する姿勢が精神面での独立性に当たります。
  2. ×イ  a:経営,b:被監査側の
    aの「経営上の独立性」は、監査人の独立性を表す用語として使われるものではありません。bの「被監査側の」立場で判断すると、監査される側に有利な評価になりかねず、公正な判断とはいえません。
  3. ×ウ  a:契約,b:経営者側の
    aの「契約上の独立性」は、行動規範で示されている独立性の名称ではありません。bの「経営者側の」立場も特定の側に寄った見方であり、監査に必要な客観性を失わせます。
  4. ×エ  a:取引,b:良心的な
    aの「取引上の独立性」は、監査の基本用語として使われるものではありません。bの「良心的な」は誠実さを表す言葉ですが、偏りなく評価するという客観性とは意味が違います。誠実さだけでは、空欄bに求められる立場の説明として不十分です。

補足

監査人が監査対象と同じ指揮命令系統の中にいると、利害関係が生じて公平な監査がしにくくなります。客観性が保てなければ、監査結果の品質や信頼性も大きく下がります。また、「良心的」や「誠実」といった言葉はもっともらしく見えますが、「偏らない」という意味を持つ「客観的」とは別の概念です。選択肢を選ぶときは、この違いに注意してください。

POINT

  • 監査人の独立性は「外観上の独立性」と「精神上の独立性」の2つに分けて整理します。
  • 監査対象と同じ指揮命令系統に属さないなど、組織上の位置づけで第三者から見て影響を受けない状態が外観上の独立性です。
  • 判断をゆがめる要因に左右されない心の状態が精神上の独立性で、客観的な立場から公正に判断することを指します。
  • 被監査側や経営者側など、どちらかの立場に立った判断は客観性を損なうため不適切です。

※出典:令和5年度 ITパスポート試験 問37(一部改変)