RPAに向く業務の見分け方とAI・産業用ロボットとの違い
ITパスポート試験 令和6年度 問16 / システム戦略 › 業務プロセス
過去問にチャレンジ
RPAが適用できる業務として,最も適切なものはどれか。
- ア
ゲームソフトのベンダーが,ゲームソフトのプログラムを自動で改善する業務
- イ
従業員の交通費精算で,交通機関利用区間情報と領収書データから精算伝票を作成する業務
- ウ
食品加工工場で,産業用ロボットを用いて冷凍食品を自動で製造する業務
- エ
通信販売業で,膨大な顧客の購買データから顧客の購買行動に関する新たな法則を見つける業務
会話形式の解説
講師今回はRPAで自動化するのに向いている業務を選ぶ問題です。見るポイントは2つあります。手順やルールがはっきり決まっているかどうかと、パソコン上の操作だけで終わるかどうかです。
受験者RPAは「ロボティック」と付くので、ロボットが自動で何かを作る業務かと思いました。冷凍食品を産業用ロボットで製造する選択肢が気になっています。
講師そこがよくある引っかけです。RPAはRobotic Process Automationの略で、人がパソコン上で行っている定型作業、つまり決まった手順の繰り返し作業を、ソフトウェアのロボットに代わりにやらせる技術です。ここでいうロボットは機械ではなく、ソフトウェアのことです。
受験者では、工場で物を作る作業は対象外なのですね。あれは別の分野になるのですか。
講師はい。工場の製造を自動化するのはFA、ファクトリーオートメーションの分野です。物理的な作業なので、RPAの対象からは外れます。
受験者ゲームソフトのプログラムを自動で改善する業務はどうでしょうか。「自動で」と書いてあるので、RPAにも当てはまりそうに見えます。
講師RPAは登録された手順をそのとおり実行するだけで、学習や判断はしません。プログラムをより良くする改善や設計は、AIや機械学習、自動最適化が扱う領域です。「自動で」という言葉だけで判断しないことが大切です。
受験者購買データから新しい法則を見つける業務も、AI寄りの話に聞こえます。
講師そのとおりです。これはデータマイニング、つまり大量のデータから規則性を掘り出す分析に当たります。何が見つかるか事前にわからない作業なので、決まった手順を繰り返すRPAには向きません。BIツールやAIのほうが適しています。
受験者そうすると、交通費精算の伝票作成が残ります。利用区間の情報と領収書データを使って、決まったルールで伝票を作る作業ですね。
講師はい、それが正解です。区間ごとの金額を調べて合計し、伝票に記入するという一連の操作をロボットに登録すれば自動化できます。ルールが明確で、パソコン上で終わる反復作業なので、RPAの代表的な例です。
受験者整理すると、決まった手順をなぞるだけならRPA、学習・予測・発見ならAIやデータマイニング、物理的な製造ならFAということですね。
講師その区別で判断できます。補足すると、紙や画像の領収書を読み取る場合は、文字を読み取るOCRと組み合わせて使うのが一般的です。RPAとAIを混同させる選択肢はよく出るので、この区別を覚えておくと迷いにくくなります。
まとめ
RPA(Robotic Process Automation)は、人がパソコン上で行う定型作業をソフトウェアのロボットで自動化する技術です。データの転記や決まった形式の帳票作成のように、手順やルールが明確な繰り返し作業に向いています。そのため、交通費精算の伝票作成が正解です。工場で産業用ロボットを使う製造はFA、プログラムの改善や新しい法則の発見はAIやデータマイニングの領域です。「ロボット」や「自動で」という言葉につられず、決まった手順をなぞる作業かどうかで判断します。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
RPA(Robotic Process Automation)とは何かを理解したうえで、RPAで自動化するのに向いている業務を選べるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、RPAは「人がパソコン上で行っている定型作業を、ソフトウェアのロボットに代わりにやらせる技術」だと押さえます。次に、各選択肢の業務について「手順やルールがはっきり決まっているか」と「パソコン上の操作で終わるか」の2点を確かめます。物理的な作業、新しい法則を見つける分析、プログラムを改善するような創造的な作業は対象から外れます。残ったものが正解です。
選択肢ごとの解説
- ×ア ゲームソフトのベンダーが,ゲームソフトのプログラムを自動で改善する業務アの「ゲームソフトのプログラムを自動で改善する業務」は、決まった手順を繰り返す事務作業ではありません。プログラムの改善はAIや機械学習、自動最適化が扱う領域です。RPAは登録された手順を実行するだけなので、改善や設計はできません。
- ○イ 従業員の交通費精算で,交通機関利用区間情報と領収書データから精算伝票を作成する業務イの交通費精算の伝票作成は、利用区間の情報と領収書データを使い、決まったルールで伝票を作る作業です。ルールがはっきりしていて、パソコン上の操作だけで終わる反復作業なので、RPAが得意とする代表的な例に当たります。区間ごとの金額を調べて合計し、伝票に記入するという一連の操作をロボットに登録すれば自動化できます。
- ×ウ 食品加工工場で,産業用ロボットを用いて冷凍食品を自動で製造する業務ウの「産業用ロボットで冷凍食品を製造する業務」は、工場で物を作る物理的な作業です。RPAの「ロボット」はソフトウェアのことで、機械の産業用ロボットとは違います。工場の製造を自動化するのはFA(ファクトリーオートメーション)の分野です。
- ×エ 通信販売業で,膨大な顧客の購買データから顧客の購買行動に関する新たな法則を見つける業務エの「購買データから新たな法則を見つける業務」は、データマイニングに当たります。何が見つかるか事前にわからない分析なので、決まった手順を繰り返すRPAには向きません。こうした分析にはBIツールやAIが適しています。
補足
「ロボット」や「自動で」という言葉につられてウやアを選ばないよう注意が必要です。RPAとAIを混同させる選択肢もよく出ます。「決まった手順をなぞるだけ」がRPA、「学習・予測・発見」がAIやデータマイニングと区別して覚えておくと判断しやすくなります。なお、紙や画像の領収書を読み取る場合は、OCRと組み合わせて使うのが一般的です。
POINT
- RPAはRobotic Process Automationの略で、人がパソコン上で行う定型作業をソフトウェアのロボットで自動化する技術です。
- RPAに向くのは、データの転記や決まった形式の帳票作成のように、手順やルールが明確で繰り返し行う作業です。
- RPAの「ロボット」はソフトウェアであり、工場で使う物理的な産業用ロボット(FA)とは別物です。
- RPAは学習や判断をせず、決められた手順を実行するだけなので、新しい法則の発見や改善のような作業はAIやデータマイニングの領域です。
