技術ロードマップを技術ポートフォリオやSカーブと見分ける
ITパスポート試験 令和6年度 問17 / 技術戦略マネジメント › 技術開発戦略の立案・技術開発計画
過去問にチャレンジ
技術開発戦略において作成されるロードマップを説明しているものはどれか。
- ア
技術の競争力レベルと技術のライフサイクルを2軸としたマトリックス上に,自社の技術や新しい技術をプロットする。
- イ
研究開発への投資とその成果を2軸とした座標上に,技術の成長過程をグラフ化し,旧技術から新技術への転換状況を表す。
- ウ
市場面からの有望度と技術面からの有望度を2軸としたマトリックス上に,技術開発プロジェクトをプロットする。
- エ
横軸に時間,縦軸に市場,商品,技術などを示し,研究開発成果の商品化,事業化の方向性をそれらの要素間の関係で表す。
会話形式の解説
講師今回は、技術開発戦略で作るロードマップがどんな図かを問う問題です。選択肢はどれも2軸の図の説明なので、それぞれの軸に何を取っているかに注目してください。
受験者全部マトリックスや座標の話で、同じように見えてしまいます。ロードマップという言葉からは、道筋を示す図という印象があります。
講師その印象で合っています。ロードマップは、目標に向かう道筋を時間の流れに沿って描いた図です。ですから、軸の一方が時間になっているかを確認すると見分けやすくなります。
受験者そうすると、横軸に時間、縦軸に市場や商品、技術を取って、研究開発成果の商品化や事業化の方向性を表すという選択肢が当てはまりそうです。
講師そのとおりです。いつ、どの技術で、どの商品や市場につなげるかを時間軸の上で結び付けて描くのが技術ロードマップです。時間を軸に取っているのはこの選択肢だけです。
受験者技術の競争力レベルとライフサイクルを2軸にする選択肢は、ライフサイクルという言葉に時間の流れが含まれている気がして迷いました。
講師紛らわしいところですね。それは技術ポートフォリオの説明です。自社技術や新しい技術を配置して、どの技術の開発を続けるか、経営資源をどう配分するかを検討するための図で、時間に沿った計画を描くものではありません。
受験者研究開発への投資と成果を2軸にして、旧技術から新技術への転換を表す選択肢も、移り変わりを示しているので時間に近いように感じます。
講師それは技術のSカーブです。技術は初めはなかなか伸びず、やがて急に伸び、最後は伸びが鈍るので、グラフがS字形になります。技術の成長過程を表す図で、将来の商品化や事業化までの道筋を示すものではありません。
受験者市場面と技術面の有望度を2軸にして技術開発プロジェクトを配置する選択肢は、プロジェクトを評価する図ということでしょうか。
講師はい、技術市場マトリックスに当たり、プロジェクトの優先順位や投資配分を判断するための評価ツールです。時間軸がないので、ロードマップの説明にはなりません。
受験者整理すると、ほかの3つは今の状態を評価・分析する図で、ロードマップだけが時間に沿って将来の方向性を示す図ということですね。
講師よくまとまっています。ロードマップは現状分析の道具ではなく、将来の実行計画を示して関係者で方向性を共有するための図です。カタカナの図の名前で迷ったら、まず時間が軸にあるかを確かめてください。
まとめ
技術開発戦略におけるロードマップは、横軸に時間、縦軸に市場・商品・技術などを取り、研究開発成果の商品化・事業化の方向性を示す図です。技術の競争力レベルとライフサイクルを2軸にした図は技術ポートフォリオ、研究開発への投資と成果を2軸にして技術の成長や新旧技術の転換を表す図は技術のSカーブです。市場面と技術面の有望度を2軸にしてプロジェクトを評価する図は技術市場マトリックスに当たります。どれも2軸の図なので、軸の一方が時間かどうかを確認すると見分けやすくなります。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
技術開発戦略で使われる図のうち、「ロードマップ」がどのような図かを問う問題です。技術ポートフォリオや技術のSカーブなど、よく似た2軸の図と見分けられるかがポイントになります。
解き方の考え方
ロードマップは、目標に向かう道筋を時間の流れに沿って描いた図です。そこで、各選択肢の「軸に何を取っているか」に注目します。競争力や有望度、投資と成果を軸にした図は、今の状態を評価・分析するためのものです。横軸に時間を取り、市場・商品・技術を結び付けて将来の方向性を示しているのはエだけなので、エが正解になります。
選択肢ごとの解説
- ×ア 技術の競争力レベルと技術のライフサイクルを2軸としたマトリックス上に,自社の技術や新しい技術をプロットする。技術の競争力レベルとライフサイクルを2軸に取り、自社技術を配置する図は「技術ポートフォリオ」の説明です。どの技術の開発を続けるか、経営資源をどう配分するかを検討するために使います。時間に沿った計画を描く図ではないため、ロードマップには当たりません。
- ×イ 研究開発への投資とその成果を2軸とした座標上に,技術の成長過程をグラフ化し,旧技術から新技術への転換状況を表す。研究開発への投資と成果を2軸に取り、技術の成長過程や旧技術から新技術への切り替わりを表す図は「技術のSカーブ」の説明です。技術は初めはなかなか伸びず、やがて急に伸び、最後は伸びが鈍るため、グラフがS字形になります。将来の商品化・事業化までの道筋を示す図ではありません。
- ×ウ 市場面からの有望度と技術面からの有望度を2軸としたマトリックス上に,技術開発プロジェクトをプロットする。市場面からの有望度と技術面からの有望度を2軸にして技術開発プロジェクトを配置する図は「技術市場マトリックス」に当たります。プロジェクトの優先順位や投資配分を判断するための評価ツールです。時間軸がないので、ロードマップの説明としては不適切です。
- ○エ 横軸に時間,縦軸に市場,商品,技術などを示し,研究開発成果の商品化,事業化の方向性をそれらの要素間の関係で表す。横軸に時間、縦軸に市場・商品・技術などを取り、要素間の関係から研究開発成果の商品化・事業化の方向性を表すという記述は、技術ロードマップの説明と一致します。時間の流れに沿って、いつ・どの技術で・どの商品や市場につなげるかを描く図です。
補足
この分野では、どの選択肢も「2軸の図」になっていて、似た印象を受けるのがよくある引っかけです。迷ったときは「軸の一方が時間かどうか」を確認すると、ロードマップを見分けやすくなります。ロードマップは現状を分析する道具ではなく、将来の実行計画を示して関係者で方向性を共有するための図だと押さえておきましょう。
POINT
- ロードマップは、目標達成までの道筋を時系列で描いた図で、横軸には時間を取ります。
- 技術ロードマップは、市場・商品・技術を時間軸の上で結び付け、研究開発成果の商品化・事業化の方向性を示します。
- 技術の競争力レベルとライフサイクルを2軸にした図は技術ポートフォリオです。
- 研究開発への投資と成果を2軸にして、技術の成長や新旧技術の転換を表す図は技術のSカーブです。
- 市場面と技術面の有望度を2軸にしてプロジェクトを評価する図は、技術市場マトリックスに当たります。
