エスクローサービスはネット取引のどのリスクに効くのか
ITパスポート試験 令和8年度 問28 / ビジネスインダストリ › e-ビジネス
過去問にチャレンジ
インターネット上の商取引に関連したリスクのうち,エスクローサービスを利用することによって低減できるリスクとして,適切なものはどれか。
- ア
オークションサイトに誤った購入金額を入力したときに,取引を取り消せない。
- イ
商品の代金を支払ったにもかかわらず,商品が配送されない。
- ウ
ショッピングサイトで使用しているパスワードが漏えいする。
- エ
発注した商品を一旦受け取ると,自己都合では解約できない。
会話形式の解説
講師今回はエスクローサービスの問題です。この仕組みが、ネット取引のリスクのうちどれを減らせるのかを見分けられるかが問われています。まずは仕組みを押さえることから始めましょう。
受験者エスクローという言葉は聞いたことがありますが、正直なところ「ネット取引を安全にするサービス」くらいの理解です。どの選択肢も安全に関係していそうで、迷ってしまいます。
講師その「安全」という印象だけで選ぶと誤りやすい問題です。エスクローは、中立的な第三者が買主と売主の間に入り、買主が払った代金をいったん預かる仲介サービスです。商品が届いて受領確認がとれるなど条件がそろってから、売主に代金が支払われます。
受験者そうすると、代金を払ったのに商品が届かないという選択肢がそのまま当てはまりそうです。届かなければ、売主に代金が渡らないということですよね。
講師そのとおりです。受け取りを確認してから代金が渡るので、商品が届かないまま代金だけ取られる被害を防ぎやすくなります。これが正解です。ほかの選択肢がなぜ外れるかも確認しておきましょう。
受験者オークションで金額を誤って入力して取り消せないというのは、取引のトラブルではありますが、代金を預かっても入力ミスは防げない気がします。
講師はい、それは入力ミスや取消しのルールの問題です。エスクローに誤入力を防いだり取引を取り消せるようにしたりする働きはありません。入札するときによく確認することが対策になります。
受験者パスワードの漏えいは情報セキュリティの話で、受け取った後に自己都合で解約できないというのは返品や解約の条件の話ですね。どちらも代金の預かりとは関係なさそうです。
講師正しく整理できています。パスワードの漏えいには、推測されにくいパスワードを使い回さないことや、多要素認証(パスワードに加えて別の手段でも本人確認する方式)が対策になります。解約については、エスクローは自己都合での解約を保証するサービスではないので、購入前に利用規約や返品条件を確認しておくことが大切です。
受験者つまり、エスクローが効くのは「代金と商品の受渡しがうまくいかない」ことから生じるリスクで、それに当てはまるかどうかで判断すればよいということですね。
講師そうです。補足すると、エスクローは買主だけでなく売主も守ります。売主は「商品を送ったのに代金が支払われない」リスクを減らせます。個人間で取引するネットオークションやフリマアプリでよく使われていて、利用には手数料がかかる場合が多いです。エスクローが主に対象とするのは代金と商品の交換なので、入力ミスや情報漏えい、返品条件と混同しないようにしましょう。
まとめ
エスクローサービスは、中立的な第三者が買主の代金をいったん預かり、商品の受領確認などの条件がそろってから売主へ支払う仲介サービスです。そのため、「代金を支払ったのに商品が配送されない」というリスクを低減できます。一方で、購入金額の誤入力、パスワードの漏えい、自己都合での解約ができないことは、それぞれ入力ミス、情報セキュリティ、契約条件の問題なので、エスクローでは防げません。売主にとっても、代金の未払いリスクを減らせる仕組みです。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
エスクローサービスの仕組みを理解し、ネット取引のどのリスクに効くのかを見分けられるかを問う問題です。
解き方の考え方
最初に、エスクローは中立的な第三者が買主の代金をいったん預かり、商品の受領確認などの条件がそろってから売主へ支払う仕組みだと押さえます。そのうえで各選択肢のリスクについて、「代金と商品の受渡しがうまくいかないこと」から生じるものかどうかを確かめます。入力ミスや情報漏えい、契約条件の問題は代金の預かりでは防げないので、選択肢から外せます。
選択肢ごとの解説
- ×ア オークションサイトに誤った購入金額を入力したときに,取引を取り消せない。購入金額を誤って入力し、取引を取り消せなくなるというアのリスクは、入力ミスや取消ルールに関わる問題です。エスクローは代金の受渡しを仲介する仕組みなので、誤入力を防いだり取引を取り消せるようにしたりする働きはありません。入札するときに慎重に確認することが対策になります。
- ○イ 商品の代金を支払ったにもかかわらず,商品が配送されない。代金を支払ったのに商品が届かないというイのリスクは、エスクローで低減できる代表的なリスクです。第三者が代金を預かり、買主が商品を受け取ったことを確認してから売主に代金を渡すため、未配送のまま代金だけを取られる被害を防ぎやすくなります。
- ×ウ ショッピングサイトで使用しているパスワードが漏えいする。ショッピングサイトのパスワードが漏えいするというウのリスクは、認証情報の管理という情報セキュリティの問題です。代金の預かりとは関係がないため、エスクローでは低減できません。対策としては、推測されにくいパスワードを使い回さずに設定することや、多要素認証の利用などが挙げられます。
- ×エ 発注した商品を一旦受け取ると,自己都合では解約できない。商品を受け取った後は自己都合で解約できないというエのリスクは、返品や解約といった契約条件の問題です。エスクローは自己都合での解約を保証するサービスではありません。購入する前に利用規約や返品条件を確認しておくことが大切です。
補足
エスクローが守るのは「代金と商品の交換」がきちんと成立することだけです。入力ミス、情報漏えい、返品や解約の条件はそれぞれ別の問題なので、「取引の安全」という言葉の印象で選ばないように注意してください。なお、エスクローの利用には手数料がかかることが一般的です。
POINT
- エスクローは、中立的な第三者が取引の当事者の間に入って代金を一時的に預かる仲介サービスです。
- 代金は、商品の到着や受領確認といった条件がそろった後に売主へ支払われます。
- 買主は「代金を払ったのに商品が届かない」リスクを、売主は「商品を送ったのに代金が支払われない」リスクを低減できます。
- 個人間で取引するネットオークションやフリマアプリでよく利用されます。
