計画段階の概算見積りに向く手法はどれか、FP法などと比べて理解する
ITパスポート試験 令和8年度 問37 / プロジェクトマネジメント › プロジェクトマネジメント
過去問にチャレンジ
Aさんは新規プロジェクトの計画段階の作業をしており,開発コストの見積りに着手した。この段階で短期的に概算費用を見積もる方法として,最も適切なものはどれか。
- ア
FP法を用いて見積もる。
- イ
作業単位のコストを見積もり,合算して全体を見積もる。
- ウ
予想されるソフトウェアのコード行数を基に見積もる。
- エ
類似プロジェクトを参考に見積もる。
会話形式の解説
講師今回は開発コストの見積り手法の問題です。注目してほしいのは「計画段階」と「短期的に概算」という二つの条件です。
受験者見積り手法の名前はいくつか覚えましたが、どれも費用を出す方法なので、正直どれでも当てはまりそうに見えます。
講師手法ごとに、見積もるときに必要な情報が違います。計画段階は要件や設計がまだ決まっておらず、詳しい情報が少ない時期です。そこを基準に考えてみましょう。
受験者FP法は名前を聞いたことがあります。精度が高そうなので、これが良いのかと思いました。
講師FP法はファンクションポイント法の略で、外部入出力や内部ファイルなどの機能の数と難易度から、ソフトウェアの規模を算出します。機能を把握していることが前提なので、要件がはっきりしない計画段階で短期間に概算する用途には向きません。
受験者作業ごとのコストを見積もって合計する方法は、いちばん確実そうに思えますが、これも違うのですか。
講師それはボトムアップ見積り、標準タスク法とも呼ばれる方法です。WBS、つまり作業を細かく分解した一覧を先に作る必要があります。精度は高いのですが時間がかかるので、「短期的な概算」という条件に合いません。
受験者コード行数を基にする方法も、行数がまだ分からない段階では予測が難しそうです。
講師そのとおりです。LOC法、プログラムステップ法と呼ばれる方法ですが、コード行数は使う言語や設計内容で大きく変わります。計画段階で予測しても不確かになりやすいです。
受験者そうすると、類似プロジェクトを参考にする方法が残ります。過去の実績を使えば、情報が少なくても早く出せるということですね。
講師はい、それが類推見積りで、正解です。過去の類似案件の実績を基にするので、短期間・低コストで概算できます。精度はやや低めで、似ている度合いが低いとさらに精度が落ちますが、計画段階の概算という目的には合っています。
受験者情報が少ない段階では類推見積り、要件や作業内容が固まってきたらFP法やボトムアップ見積り、という使い分けで覚えます。
講師良い整理です。問題文に「計画段階」「短期的」「概算」といった語があれば、類推見積りを選ぶ手がかりになります。逆に「精度が高い」「詳細な作業分解」とあれば、ボトムアップ見積りを思い出してください。
まとめ
プロジェクトの計画段階は要件や設計が決まっておらず、使える情報が少ない時期です。少ない情報で短期間・低コストに概算できるのは、過去の類似プロジェクトの実績を基にする類推見積りです。FP法は機能の数と難易度の把握が前提です。ボトムアップ見積りは詳細な作業分解が必要で時間がかかります。LOC法はコード行数が言語や設計で大きく変わるため、計画段階では不確かになりやすいです。見積り手法は、プロジェクトの情報がどれだけ明確になっているかに応じて使い分けます。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
プロジェクトの計画段階で、短い期間に開発コストの概算を出すにはどの見積り手法が向いているかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、計画段階は要件や設計がまだ決まっておらず、詳しい情報が少ない時期だという点を押さえます。機能の数や作業の内訳、コード行数などの情報を必要とする手法は、情報が少ない計画段階で短期間に概算する用途には向いていません。そのうえで、少ない情報でも早く手間をかけずに概算できる手法はどれかを考えると、過去の実績を使う類推見積りが選べます。
選択肢ごとの解説
- ×ア FP法を用いて見積もる。FP法を用いる方法は、外部入出力や内部ファイルなどの機能の数と難易度から、ソフトウェアの規模を算出する手法です。機能を把握していることが前提なので、要件がはっきりしない計画段階で短期間に概算する用途には向いていません。
- ×イ 作業単位のコストを見積もり,合算して全体を見積もる。作業単位のコストを合算する方法は、ボトムアップ見積り(標準タスク法)です。WBSなどで作業を細かく分解しておく必要があり、精度は高いものの時間がかかります。短期的な概算という条件には合いません。
- ×ウ 予想されるソフトウェアのコード行数を基に見積もる。コード行数を基にする方法は、LOC法(プログラムステップ法)と呼ばれます。コード行数は使う言語や設計内容によって大きく変わるため、計画段階で予測しても不確かになりやすいです。
- ○エ 類似プロジェクトを参考に見積もる。類似プロジェクトを参考にする方法は類推見積りで、過去の類似案件の実績を基に費用を見積もります。少ない情報でも短期間・低コストで概算できるので、計画段階の短期的な概算に最も適しています。精度はやや低めですが、この段階の目的には合っています。
補足
見積り手法は、そのときプロジェクトの情報がどれだけ明確になっているかに応じて使い分けます。一般に、要件や作業内容が固まるほど、FP法やボトムアップ見積りで精度の高い見積りができるようになります。問題文に「計画段階」「短期的」「概算」といった語があれば、類推見積りを選ぶ手がかりになります。
POINT
- 類推見積りは、過去の類似プロジェクトの実績を基に見積もる手法です。
- 類推見積りは少ない情報で短期間に概算できる一方、精度はやや低く、類似度が低いとさらに精度が落ちます。
- FP法は機能の数と難易度から規模を算出する手法で、機能の把握が前提になります。
- 作業単位の費用を積み上げるボトムアップ見積りは、詳細な作業分解が必要で、精度は高いものの時間がかかります。
- LOC法はコード行数を基にしますが、行数は言語や設計で大きく変わります。
