WBSとは何か、日程表やクリティカルパスとの違い
ITパスポート試験 令和8年度 問39 / プロジェクトマネジメント › プロジェクトマネジメント
過去問にチャレンジ
システム開発のプロジェクトマネジメントにおけるWBSの説明として,最も適切なものはどれか。
- ア
クリティカルパス上の作業を記載したものである。
- イ
主要な成果物に関する予定開始日と予定終了日を記載したものである。
- ウ
全ての成果物を作成するための作業を階層的に分解して記載したものである。
- エ
プロジェクトで使用するツールを記載したものである。
会話形式の解説
講師今回はWBSの定義を問う問題です。日程表、クリティカルパス、使用ツールの一覧など、似た計画資料との違いを見分けられるかがポイントです。
受験者WBSは聞いたことがありますが、スケジュール表のようなものだと思っていました。予定開始日と予定終了日を書いたものではないのですか。
講師まず正式名称から考えてみましょう。WBSはWork Breakdown Structureの略で、直訳すると「作業を分解した構造」です。中心にあるのは日付ではなく、作業を細かく分けることです。
受験者分解した構造ということは、全ての成果物を作るための作業を階層的に分けたもの、という説明が当てはまりそうです。
講師そのとおりです。WBSは成果物を基準にして、必要な作業を大きな単位から小さな単位へ段階的に細分します。作業範囲がはっきりするので、見積りや担当の割当て、日程計画の土台として使えます。
受験者日程計画の土台になるのなら、開始日と終了日を書いたものも正しいように見えて迷います。
講師土台になることと、日程そのものを管理することは別です。開始日と終了日のような日程の情報は、ガントチャートなどの日程管理で扱います。WBSで洗い出した作業に日付を付けたものが日程表、という関係です。
受験者クリティカルパス上の作業を記載したもの、という説明はどうでしょうか。クリティカルパスは工期を決める大事な経路だったと思います。
講師クリティカルパスは、プロジェクト全体の工期を決める作業の経路のことです。WBSはその経路に乗らない作業も含めて、プロジェクト範囲内の全ての作業を対象にします。一部の作業に限っている点が誤りです。使用するツールを記載したもの、という説明も、作業の分解ではないので当たりません。ツールのような資源は、資源計画やプロジェクトマネジメント計画書などで扱います。
受験者整理すると、WBSは作業を階層的に分解したもので、日程はガントチャート、工期を決める経路はクリティカルパス、ツールは資源の計画で扱う、ということですね。
講師その理解で大丈夫です。WBSで作業を洗い出し、その作業に順序や日付を付けてガントチャートやアローダイアグラムを作る、という流れで覚えておくと混同しにくくなります。選択肢を見るときは、作業の分解が説明の中心になっているかどうかを確かめてください。
まとめ
WBSはWork Breakdown Structureの略で、プロジェクトの全ての成果物を作るための作業を、大きな単位から小さな単位へ階層的に分解したものです。作業範囲を明確にすることで、見積りや担当の割当て、日程計画の基礎として使われます。予定開始日・終了日を表すのはガントチャートなどの日程管理の資料で、WBSの定義そのものではありません。クリティカルパスは工期を決める作業経路で、WBSはそれ以外の作業も含みます。作業の分解が説明の中心になっているかどうかで見分けるのがポイントです。
解答・解説
正解はウです
この問題のテーマ
WBS(Work Breakdown Structure)の定義を問う問題です。日程表やクリティカルパス、使用ツールの一覧といった、似た計画資料との違いを見分けられるかが問われています。
解き方の考え方
まず、WBSの正式名称「Work Breakdown Structure」を日本語にします。「作業を分解した構造」という意味になり、ここから「作業を階層的に細かく分けたもの」という中心的な意味がつかめます。次に、各選択肢が説明しているのが作業の分解なのか、それとも日程・経路・道具といった別の情報なのかを確認します。分解以外の情報を中心に据えた説明は、WBSそのものの定義には当たらないと判断できます。
選択肢ごとの解説
- ×ア クリティカルパス上の作業を記載したものである。「クリティカルパス上の作業を記載したもの」という説明は、対象を一部の作業に限っている点が誤りです。クリティカルパスは、プロジェクト全体の工期を決める作業の経路を指します。WBSは、この経路に乗らない作業も含め、プロジェクトの範囲内にある全ての作業を対象にします。
- ×イ 主要な成果物に関する予定開始日と予定終了日を記載したものである。「主要な成果物の予定開始日と予定終了日を記載したもの」という説明は、日程管理の情報を表したものです。日程を表す図としては、ガントチャートがよく使われます。WBSは日程計画の土台にはなりますが、定義の中心は必要な作業を階層的に分けることにあり、日付を管理する資料ではありません。
- ○ウ 全ての成果物を作成するための作業を階層的に分解して記載したものである。「全ての成果物を作成するための作業を階層的に分解して記載したもの」という説明は、WBSの定義に合っています。WBSは成果物を基準にして、必要な作業を大きな単位から小さな単位へ段階的に細分します。こうして作業範囲をはっきりさせることで、見積りや担当の割当て、日程計画の基礎として使えるようになります。
- ×エ プロジェクトで使用するツールを記載したものである。「プロジェクトで使用するツールを記載したもの」という説明は、WBSの役割と合いません。WBSは作業を分解した構造を示すもので、使用ツールを並べる資料ではありません。ツールのような資源は、別の計画の中で扱う事項です。
補足
WBSは日程計画の「基礎」になるため、日程表そのものと混同させる選択肢がよく出題されます。WBSで作業を洗い出し、その作業に日付や順序を付けてガントチャートやアローダイアグラムを作る、という流れで整理しておくと区別しやすくなります。「全ての」「階層的に」という言葉が入っているかどうかが、正解を見分ける手がかりです。
POINT
- WBSはWork Breakdown Structureの略で、作業を分解した構造を意味します。
- WBSは成果物を基準にして、プロジェクト範囲内の全ての作業を階層的に細分したものです。
- WBSを作ると作業範囲が明確になり、見積り・担当の割当て・日程計画の基礎資料として使えます。
- 作業の開始日や終了日はガントチャートなどの日程管理で扱う情報で、WBSの定義そのものではありません。
- クリティカルパスは全体の工期を決める作業経路であり、WBSはそれ以外の作業も含みます。
