マナビング基本情報技術者

遅れを取り戻すスケジュール短縮技法をどう見分けるか

基本情報技術者試験 令和8年度 問13 / プロジェクトマネジメント › プロジェクトの時間

過去問にチャレンジ

令和8年度 問13

あるシステム開発プロジェクトの進捗が遅延したので,クリティカルパス上の作業への投入工数を増やすことによって遅延の解消を図った。このとき適用した,所要期間を短縮するための手法を何と呼ぶか。

  1. ア

    クラッシング

  2. イ

    コーチング

  3. ウ

    ファストトラッキング

  4. エ

    メンタリング

会話形式の解説

講師講師
この問題は、スケジュールを短くする技法の名前を問うものです。注目してほしいのは、期間を縮めるために『何をしたか』です。問題文では、クリティカルパス上の作業に投入する工数を増やしています。
受験者受験者
選択肢にカタカナの用語が四つ並んでいて、どれも聞いたことはあります。でも、どれがスケジュールの話なのかがはっきりしません。
講師講師
まず仲間分けをすると楽になります。コーチングとメンタリングは人材育成の手法です。コーチングは質問や対話で本人の気付きを促し、目標の達成を支える方法です。メンタリングは、経験豊富な人(メンター)が経験の浅い人に継続して助言や支援をする方法です。
受験者受験者
育成はメンバーの力を伸ばすものなので、期間を直接短くする技法ではないということですね。そうすると、残るのはクラッシングとファストトラッキングです。
講師講師
はい。この二つが代表的なスケジュール短縮技法です。クラッシングは、人員・設備・コストなどの資源を追加して作業期間を短くします。ファストトラッキングは、本来は順番に行う予定の作業を並行して進めることで期間を縮めます。
受験者受験者
問題文は『工数を増やす』なので、資源を追加しています。答えはクラッシングですね。ファストトラッキングは作業の順番を変える方法なので、ここには当てはまりません。
講師講師
そのとおりです。クラッシングの典型的な例は、時間外勤務を増やすことや、熟練者を増員することです。ファストトラッキングの例としては、仕様が固まったモジュールから先に開発を始めることが挙げられます。
受験者受験者
先に始めたあとで前の工程の内容が変わったら、やり直しになりそうです。
講師講師
よく気付きましたね。ファストトラッキングには手戻りのリスクがあり、クラッシングには追加費用がかかります。どちらにも代償がある、と覚えておくとよいです。
受験者受験者
それと、問題文にわざわざ『クリティカルパス上の作業』と書いてあるのはなぜですか。
講師講師
クリティカルパスは、余裕時間のない作業の並びで、全体の完了日を決めている経路です。そこを縮めないと完了日は早まりません。クリティカルパス以外の作業に資源を追加しても、プロジェクト全体の完了日は早まらないのです。
受験者受験者
整理すると、資源・工数・要員を増やすならクラッシング、並行して進めるならファストトラッキング、対象はクリティカルパス上の作業、ということですね。
講師講師
はい。問題文に『前の作業の完了を待たずに』とあれば、ファストトラッキングだと判断できます。ただ、要員を増やせば必ず期間が縮むわけではありません。引継ぎや連絡の負担が増えますし、各作業には短縮できる限界もあります。その点も押さえておくと安心です。

まとめ

クリティカルパス上の作業に工数を追加して所要期間を短くする手法は、クラッシングです。代表的なスケジュール短縮技法には、資源を追加するクラッシングと、順番に行う予定の作業を並行させるファストトラッキングがあります。クラッシングには追加費用がかかり、ファストトラッキングには手戻りのリスクがあります。コーチングとメンタリングは人材育成の手法で、スケジュール短縮技法ではありません。クリティカルパス以外の作業に資源を追加しても、プロジェクト全体の完了日は早まりません。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

プロジェクトのスケジュールを短くする技法のうち、クリティカルパス上の作業に資源(工数)を追加して期間を縮める「クラッシング」を見分けられるかを問う問題です。

解き方の考え方

まず問題文から、何をして期間を短くしたのかを読み取ります。ここでは「投入工数を増やす」、つまり人員などの資源を追加しています。代表的なスケジュール短縮技法には、資源を追加するクラッシングと、作業を並行して進めるファストトラッキングの2つがあるので、どちらに当たるかを判断します。残りのコーチングとメンタリングは人材育成の手法なので、スケジュール短縮技法の候補からは外せます。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  クラッシング
    クラッシングは、作業に人員・設備・コストなどの資源を追加して所要期間を短くする手法です。全体の完了日を早めるには、余裕のないクリティカルパス上の作業に適用するのが基本です。問題文の「クリティカルパス上の作業への投入工数を増やす」はまさにこれに当たります。時間外勤務を増やすことや、熟練者を増員することが典型的な例です。
  2. ×イ  コーチング
    コーチングは、質問や対話を通じて本人の気付きを促し、目標の達成を支援する人材育成の手法です。メンバーの能力を伸ばすことには役立ちますが、作業期間を直接短くする技法ではありません。
  3. ×ウ  ファストトラッキング
    ファストトラッキングもスケジュール短縮技法ですが、本来は順番に行う予定の作業を並行して進めることで期間を縮めます。工数を追加して縮めるのではないので、設問の状況とは合いません。仕様が固まったモジュールから先に開発を始めるのが例で、手戻りのリスクが高まる点に注意が必要です。
  4. ×エ  メンタリング
    メンタリングは、経験豊富な人(メンター)が経験の浅い人に継続して助言や支援を行う人材育成の手法です。コーチングと同じく育成のための手段で、プロジェクトの期間を短くする技法ではありません。

補足

問題文に「資源・工数・要員を増やす」とあればクラッシング、「並行して」「前の作業の完了を待たずに」とあればファストトラッキングと、キーワードで判断できます。ただし、要員を増やせば必ず期間が縮むわけではありません。引継ぎや連絡の負担が増えるうえ、各作業には短縮できる限界もあります。クリティカルパス以外の作業に資源を追加しても、プロジェクト全体の完了日は早まらない点もよく問われます。

POINT

  • クラッシングは、資源(人員・設備・コスト)を追加して作業期間を短くする技法です。
  • ファストトラッキングは、順番に行う予定だった作業を並行させて期間を短くする技法です。
  • スケジュールを短くするには、余裕時間のないクリティカルパス上の作業を対象にします。
  • クラッシングには追加費用がかかり、ファストトラッキングには手戻りのリスクがあります。
  • コーチングとメンタリングは人材育成の手法で、スケジュール短縮技法ではありません。

※出典:令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 問13