プロバイダ責任制限法の対象になる事例はどれか
ITパスポート試験 令和3年度 問17 / 法務 › その他の法律・ガイドライン
過去問にチャレンジ
プロバイダが提供したサービスにおいて発生した事例a〜cのうち、プロバイダ責任制限法によって、プロバイダの対応責任の対象となり得るものだけを全て挙げたものはどれか。 a 氏名などの個人情報が電子掲示板に掲載されて、個人の権利が侵害された。 b 受信した電子メールの添付ファイルによってマルウェアに感染させられた。 c 無断で利用者IDとパスワードを使われて、ショッピングサイトにアクセスされた。
- ア
a
- イ
a,b,c
- ウ
a,c
- エ
c
会話形式の解説
講師今回は、プロバイダのサービスで起きた3つの事例から、プロバイダ責任制限法の対象になるものを選ぶ問題です。決め手は、この法律がどんな被害を扱うかです。キーワードは「情報の流通による権利侵害」です。
受験者プロバイダのサービスで起きたトラブルなら、全部プロバイダに責任があるのかと思っていました。3つとも被害ですし、全部選びたくなります。
講師そこを区別するのがこの問題です。この法律は、インターネット上に流れた情報で他人の権利が侵害されたときのための法律です。一定の条件のもとでプロバイダ等の損害賠償責任を制限し、被害者が使える手続も定めています。
受験者手続というのは、どんなものですか。
講師送信防止措置、つまり書き込みの削除を求めることと、発信者情報開示、つまり書き込んだ人の情報を開示してもらうことです。では、掲示板に氏名などの個人情報が載せられた事例はどうでしょう。
受験者掲示板に載った情報で権利が侵害されているので、まさに情報の流通による権利侵害ですね。削除や発信者情報の開示を求められそうです。
講師そのとおりです。これは対象となり得ます。次に、メールの添付ファイルでマルウェアに感染した事例はどうですか。
受験者メールも情報なので、流通していると言えそうな気がして迷います。
講師迷いやすいところですね。マルウェア感染は被害ではありますが、掲示板などに流通した情報によって権利が侵害されたケースではありません。そのため、本問の対象外です。
受験者では、他人のIDとパスワードを無断で使ってショッピングサイトにログインされた事例はどうでしょう。
講師それは不正アクセスに当たり、不正アクセス禁止法で扱う問題です。情報の流通による権利侵害ではないので、この法律の対象ではありません。
受験者ということは、対象になるのは掲示板への個人情報の掲載だけですね。全部を選ぶものも、なりすましログインを含むものも、掲載の事例が抜けているものも誤りだと分かりました。
講師正解はその掲載の事例だけを挙げた組合せです。典型的な対象は、掲示板やSNSへの書き込みによるプライバシー侵害や名誉毀損だと覚えておきましょう。なお、この法律は出題後の改正で名称が変わり、今は「情報流通プラットフォーム対処法」と呼ばれます。大規模なプラットフォーム事業者に削除の求めへの迅速な対応などが求められるようになりましたが、情報の流通による権利侵害を扱うという基本は同じです。
まとめ
プロバイダ責任制限法は、インターネット上の情報の流通によって権利が侵害されたときに、プロバイダ等の損害賠償責任を制限し、送信防止措置や発信者情報開示の手続を定める法律です。掲示板に個人情報が掲載されて権利が侵害された事例は典型的な対象になります。一方、メールの添付ファイルによるマルウェア感染や、IDとパスワードの無断使用によるログインは、情報の流通による権利侵害ではないため対象外です。なりすましログインは不正アクセス禁止法の問題として整理すると、選択肢を見分けやすくなります。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
プロバイダのサービスで起きた3つの事例から、プロバイダ責任制限法の対象になるものを選ぶ問題です。この法律が扱うのは、インターネット上に流れた情報による権利侵害です。
解き方の考え方
まず、プロバイダ責任制限法が何を扱う法律かを確かめます。インターネット上に流れた情報で他人の権利が侵害されたとき、プロバイダ等の損害賠償責任を制限し、送信防止措置や発信者情報開示の手続を定める法律です。次に、a〜cがそれぞれ「掲載・流通した情報による権利侵害」に当たるかを一つずつ照らします。当たるのは、掲示板への個人情報の掲載(a)だけです。したがって、aだけを挙げた選択肢を選びます。
選択肢ごとの解説
- ○ア aaだけを挙げた組合せで、正解です。aは、掲示板に氏名などの個人情報が載り、個人の権利が侵害された事例です。ネット上に流れた情報による権利侵害に当たります。そのため、被害者はプロバイダに送信防止措置(削除の求め)や発信者情報の開示を求められ、同法の対象となり得ます。したがって、アが正解です。
- ×イ a,b,ca、b、cすべてを挙げた組合せです。bは、メールの添付ファイルでマルウェアに感染した事例で、掲示板などに流れた情報で権利が侵害されたものではありません。cも、IDとパスワードの無断使用であり、情報の流通による権利侵害ではありません。b、cは対象外なので、イは誤りです。
- ×ウ a,caとcを挙げた組合せです。aは対象になります。一方、cは他人のIDとパスワードを無断で使ってログインする不正アクセスです。情報の流通による権利侵害ではないため、同法の対象外です。したがって、ウは誤りです。
- ×エ ccだけを挙げた組合せです。cのIDとパスワードの無断使用は、同法の対象外です。さらに、対象となり得るaが含まれていません。したがって、エは誤りです。
補足
プロバイダが提供したサービスで起きたことが、すべてこの法律の対象になるわけではありません。bのマルウェア感染は被害ではありますが、問われている「情報の流通による権利侵害」には当たりません。cのようななりすましログインは、不正アクセス禁止法で扱われる問題として整理すると、選択肢を区別しやすくなります。
※プロバイダ責任制限法は出題後の改正で名称が変わり、現在は「情報流通プラットフォーム対処法」と呼ばれます。改正では大規模なプラットフォーム事業者に向けて、削除の求めへの対応を迅速にすることなどの規律が加わりました。情報の流通による権利侵害を扱うという基本の考え方は変わっていないので、本問の判断も同じです。
POINT
- プロバイダ責任制限法は、インターネット上の情報の流通による権利侵害を扱う法律です。
- この法律は、一定の条件のもとでプロバイダ等の損害賠償責任を制限します。
- 被害者が使える手続として、送信防止措置(削除の求め)と発信者情報開示が定められています。
- 掲示板やSNSへの書き込みによるプライバシー侵害や名誉毀損が典型的な対象です。
- 他人のIDとパスワードを無断で使うログインは不正アクセスの問題で、この法律の対象ではありません。
