景品表示法とコンプライアンス、問題になる企業行為の見分け方
ITパスポート試験 令和5年度 問25 / 法務 › その他の法律・ガイドライン
過去問にチャレンジ
企業の行為に関する記述a~cのうち,コンプライアンスにおいて問題となるおそれのある行為だけを全て挙げたものはどれか。 a 新商品の名称を消費者に浸透させるために,誰でも応募ができて,商品名の一部を答えさせるだけの簡単なクイズを新聞や自社ホームページ,雑誌などに広く掲載し,応募者の中から抽選で現金10万円が当たるキャンペーンを実施した。 b 人気のあるWebサイトを運営している企業が,広告主から宣伝の依頼があった特定の商品を好意的に評価する記事を,広告であることを表示することなく一般の記事として掲載した。 c フランスをイメージしてデザインしたバッグを国内で製造し,原産国の国名は記載せず,パリの風景写真とフランス国旗だけを印刷したタグを添付して,販売した。
- ア
a,b
- イ
a,b,c
- ウ
a,c
- エ
b,c
会話形式の解説
講師この問題は、企業の3つの行為のうち、コンプライアンス上問題になり得るものを選ぶ問題です。コンプライアンスとは、法令の遵守に加え、社会規範や企業倫理に沿って行動することです。見るポイントは「消費者を誤認させるか」「法令の規制に触れるか」の2つです。
受験者最初の現金10万円が当たるクイズは、金額が大きいので景品の規制に引っかかりそうだと思いました。
講師そこは注意が必要です。この懸賞は誰でも応募できて、商品の購入を条件にしていません。購入や来店を応募条件にしない懸賞はオープン懸賞と呼ばれ、景品表示法上の賞金の上限がありません。ですから、10万円の現金というだけでは問題になりません。
受験者「現金が当たる=規制対象」ではなく、商品購入が応募の条件になっているかどうかで扱いが変わるのですね。
講師そのとおりです。景品の規制では、この「購入が条件かどうか」がよく問われます。では、Webサイトの記事の件はどう考えますか。
受験者広告主から頼まれた宣伝なのに、広告と書かずに普通の記事として載せています。読者は中立的な評価だと思い込みそうです。
講師はい。広告であることを隠して第三者の評価のように見せる宣伝を、ステルスマーケティングといいます。読者に誤認させるおそれがあるので、問題となる行為です。なお出題後の2023年10月から、こうした表示は景品表示法の不当表示として規制対象に指定されていて、現在は法令上も明確に問題になります。
受験者バッグの件は、国名を書いていないので、うそはついていないようにも見えます。
講師文字で国名を書いていなくても、パリの風景写真とフランス国旗だけのタグが付いていれば、国内で製造したバッグをフランス製だと思わせるおそれがあります。原産国の表示は、消費者が受ける全体の印象で判断される点に注意してください。
受験者そうすると、問題になるのは記事の件とバッグの件で、クイズの懸賞は問題ないので、「b,c」の組合せが正解ですね。
講師正解です。「a,b」や「a,c」は問題のない懸賞を含んでいるうえに、問題のある行為が1つ抜けています。「a,b,c」は、高額の現金に引っ張られて懸賞まで含めてしまった組合せです。
講師まとめると、懸賞は「購入が応募条件かどうか」、広告は「広告と分かるかどうか」、原産国は「図柄も含めて誤認させないか」を見ます。「国名は書いていない」「金額が大きい」といった表面的な特徴だけで判断しないことが大切です。
まとめ
この問題は、懸賞キャンペーン、広告を隠した記事、原産国の表示という3つの企業行為のうち、コンプライアンス上問題となるものを選ぶものです。誰でも応募でき購入を条件としない懸賞はオープン懸賞で、景品表示法上の賞金上限がないため、現金10万円でもそれだけでは問題になりません。広告主の依頼による宣伝を一般の記事として載せるのはステルスマーケティングで、2023年10月からは景品表示法の不当表示として規制対象です。国名を書かなくても、パリの写真やフランス国旗で国内製品をフランス製と誤認させるおそれのある表示は問題となります。したがって正解は「b,c」の組合せです。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
企業の3つの行為のうち、コンプライアンス(法令や社会のルールを守ること)の面で問題になりそうなものを選ぶ問題です。扱う場面は、懸賞(景品)、広告であることを隠した宣伝、原産国の表示の3つです。いずれも、消費者を誤認させないかが判断の軸になります。
解き方の考え方
まず、a~cそれぞれについて、「消費者を誤認させるか」「法令の規制に触れるか」を確かめます。次に、aを見ます。aは購入や来店を応募条件としないオープン懸賞なので、賞金10万円というだけでは問題になりません。bは広告を一般の記事に見せかけている点、cは文字で国名を書いていなくても図柄でフランス製と思わせている点が、消費者を誤認させます。したがって、問題となるのはbとcだけなので、エを選びます。
選択肢ごとの解説
- ×ア a,b「a,b」の組合せは誤りです。aの懸賞は誰でも応募でき、商品の購入を条件としていないオープン懸賞です。景品表示法上の賞金上限がないため、10万円の現金でも問題にはなりません。また、国内製のバッグをフランス製と誤認させかねないcが含まれていません。
- ×イ a,b,c「a,b,c」とすべてを挙げた組合せは誤りです。bとcは問題となり得ますが、aは購入を条件としないオープン懸賞なので、賞金10万円というだけでは問題になりません。「現金が当たる=規制対象」と早合点すると、この選択肢を選んでしまいます。
- ×ウ a,c「a,c」の組合せは誤りです。問題のないaが入っている一方で、bが含まれていません。bは広告主から依頼された宣伝を、広告と示さずに一般の記事として載せています。読者に第三者の中立的な評価だと誤認させるおそれがあります。
- ○エ b,c「b,c」の組合せが正解です。bは広告であることを隠した宣伝で、ステルスマーケティングに該当します。cは国名を書いていなくても、パリの風景写真とフランス国旗のタグによって、国内製品をフランス製と誤認させるおそれがあります。
補足
景品の規制では、商品購入が応募の条件になっているかどうかで扱いが変わります。aのように誰でも応募できる懸賞は、高額に見えても、それだけでは問題になりません。一方、cのように「国名は書いていない」と言っても、消費者が受ける全体の印象で判断される点に注意してください。
※出題後の2023年10月から、広告であることを分かりにくくする表示(いわゆるステルスマーケティング)は、景品表示法の不当表示として規制対象に指定されています。そのため現在は、bの行為は法令上も明確に問題となる行為です。
POINT
- コンプライアンスは法令の遵守だけでなく、社会規範や企業倫理に沿った行動も含みます。
- 購入や来店を応募条件としない懸賞はオープン懸賞と呼ばれ、景品表示法上の賞金上限はありません。
- 広告であることを隠して第三者の評価のように見せる宣伝は、ステルスマーケティングです。
- 原産国の誤認は、国名の文字表記がなくても、国旗や風景写真などの図柄によって生じ得ます。
