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シュリンクラップ契約の成立時点を開封から考える

ITパスポート試験 令和4年度 問14 / 法務 › 知的財産権

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令和4年度 問14

市販のソフトウェアパッケージなどにおけるライセンス契約の一つであるシュリンクラップ契約に関する記述として,最も適切なものはどれか。

  1. ア

    ソフトウェアパッケージの包装を開封してしまうと,使用許諾条件を理解していなかったとしても,契約は成立する。

  2. イ

    ソフトウェアパッケージの包装を開封しても,一定期間内であれば,契約を無効にできる。

  3. ウ

    ソフトウェアパッケージの包装を開封しても,購入から一定期間ソフトウェアの利用を開始しなければ,契約は無効になる。

  4. エ

    ソフトウェアパッケージの包装を開封しなくても,購入から一定期間が経過すると,契約は成立する。

会話形式の解説

講師講師
今回はシュリンクラップ契約という、市販ソフトウェアのライセンス契約の一つがテーマです。注目してほしいのは、契約が「いつ」「何をきっかけに」成立するかという点です。
受験者受験者
カタカナ語なので、名前から意味が想像しにくいです。ラップは包むという意味でしょうか。
講師講師
そのとおりです。シュリンクラップは、商品を包んでいる収縮性のフィルムのことです。この包装を開封した行為を、使用許諾条件、つまりソフトウェアを使うときの決まりに同意したものとみなす契約方式です。
受験者受験者
それなら、開封した時点で契約が成立すると考えればよいですね。ただ、条件を読んでいなくても成立してしまうのは少し不思議です。
講師講師
条件は包装や外箱などに示されていて、開封すれば承諾したのと同じ法的効果が生じます。読んだか、理解したかは関係ありません。根拠としては民法第527条が挙げられます。申込者の意思表示や取引上の慣習で承諾の通知が不要な場合、承諾と認められる事実があった時に契約が成立する、という規定です。ですから、理解していなくても開封すれば成立するという選択肢が正解です。
受験者受験者
開封した後でも、一定期間内なら無効にできるという選択肢は、返品の仕組みのようで正しそうに見えました。
講師講師
そこは迷いやすいところです。シュリンクラップ契約には、開封後の一定期間内なら無効にできるという仕組みはありません。原則として、開封して成立した契約を後から無効にすることはできません。
受験者受験者
残りの二つは、利用を始めないと無効になるというものと、開封しなくても期間が過ぎれば成立するというものでした。どちらも基準が開封ではないので誤りだと思います。
講師講師
その判断で合っています。開封すればソフトウェアを使わなくても契約は有効なまま続きますし、開封していなければ、どれだけ時間がたっても契約は成立しません。
受験者受験者
まとめると、きっかけは開封だけで、利用開始や時間の経過は関係ないということですね。
講師講師
はい。関連して、画面上の同意ボタンを押すことで成立する契約はクリックラップ(クリックオン)契約と呼ばれます。どちらも「ある行為を同意とみなす」点は同じなので、その行為が包装の開封か、ボタンのクリックかで区別しましょう。また、誤りの選択肢には、開封後に無効にできるとするものと、契約の成否を利用開始や期間の経過に結びつけるものがあります。誤りの種類を分けて見ておくと、引っかけに気づきやすくなります。

まとめ

シュリンクラップ契約は、市販ソフトウェアの包装を開封した行為を使用許諾条件への同意とみなす契約方式です。契約は開封した時点で成立し、条件を読んでいたか理解していたかは関係ありません。開封して成立した契約は、原則として後から無効にできず、使わなかったり時間がたったりしても無効にはなりません。開封していなければ、期間が過ぎても契約は成立しません。画面上の同意ボタンで成立するクリックラップ契約とは、同意とみなす行為の違いで区別します。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

市販のソフトウェアパッケージで使われるシュリンクラップ契約が、どの時点で、何をきっかけに成立するかを問う問題です。

解き方の考え方

まず「シュリンクラップ」という名前から考えます。これは商品を包む収縮性のフィルムのことで、その包装を開封した行為を使用許諾条件への同意とみなす契約方式です。つまり、契約が成立するきっかけは「開封」です。各選択肢について、成立や無効のきっかけが開封になっているかどうかを確かめれば、正解を絞り込めます。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  ソフトウェアパッケージの包装を開封してしまうと,使用許諾条件を理解していなかったとしても,契約は成立する。
    アの「開封すれば、条件を理解していなくても契約は成立する」という説明は、シュリンクラップ契約の仕組みそのものです。使用許諾条件は包装や外箱などに示されていて、開封した時点で条件を承諾したのと同じ法的効果が生じます。このような契約の成立を認める根拠としては、承諾の通知がなくても承諾の意思を示す行為があれば契約が成立するとする民法第527条が挙げられます。
  2. ×イ  ソフトウェアパッケージの包装を開封しても,一定期間内であれば,契約を無効にできる。
    イの「開封後も一定期間内なら契約を無効にできる」という説明は誤りです。シュリンクラップ契約には、開封後の一定期間内なら無効にできるという仕組みはありません。原則として、開封して成立した契約を後から無効にすることはできません。
  3. ×ウ  ソフトウェアパッケージの包装を開封しても,購入から一定期間ソフトウェアの利用を開始しなければ,契約は無効になる。
    ウの「一定期間利用を始めなければ無効になる」という説明は誤りです。契約が成立するかどうかの基準は利用を始めたかどうかではなく、開封したかどうかです。開封すれば契約は成立し、ソフトウェアを使わなくても有効なまま続きます。
  4. ×エ  ソフトウェアパッケージの包装を開封しなくても,購入から一定期間が経過すると,契約は成立する。
    エの「未開封でも一定期間が過ぎれば契約は成立する」という説明は誤りです。同意の意思表示として扱われるのは開封という行為であり、時間が過ぎることではありません。開封していなければ、どれだけ時間がたっても契約は成立しません。

補足

シュリンクラップ契約とクリックラップ契約は、どちらも「ある行為を同意とみなす」点が共通しています。区別するときは、その行為が包装の開封なのか、画面上の同意ボタンのクリックなのかに注目しましょう。この問題の誤答であるイ・ウ・エは、いずれも「契約が成立する、または無効になるきっかけ」を、開封ではなく期間の経過や利用開始にすり替えています。

POINT

  • シュリンクラップ契約は、包装を開封したことを使用許諾条件への同意とみなす契約方式です。
  • 契約が成立するのは包装を開封したときで、条件を読んでいたか、理解していたかは関係ありません。
  • 開封によって成立した契約は、使わなかったり時間がたったりしても、それだけで無効にはなりません。
  • 画面上の同意ボタンを押すことで成立する契約は、クリックラップ(クリックオン)契約と呼ばれます。

※出典:令和4年度 ITパスポート試験 問14