UMLアクティビティ図で表現できるものは何かを読み解く
ITパスポート試験 令和4年度 問15 / システム戦略 › 業務プロセス
過去問にチャレンジ
業務プロセスを,例示するUMLのアクティビティ図を使ってモデリングしたとき,表現できるものはどれか。

- ア
業務で必要となるコスト
- イ
業務で必要となる時間
- ウ
業務で必要となる成果物の品質指標
- エ
業務で必要となる人の役割
会話形式の解説
講師今回は、UMLのアクティビティ図で業務プロセスを表したとき、何が表現できるかを選ぶ問題です。UMLとは、システムや業務を図で表すための共通の表記法のことです。図が区画に分けられ、業務がそのどこかに置かれている点に注目してください。
受験者業務の流れを表す図ですよね。流れが分かるなら、業務にかかる時間も表せそうな気がしますが、どうでしょうか。
講師その考えが迷いやすいところです。まず記号を確認しましょう。黒丸が開始、二重丸が終了、ひし形が分岐、角の丸い四角が業務、矢印が流れの向きです。この中に時間を書き込む記号はありますか。
受験者ありません。矢印が長いと時間がかかる、という意味でもないのですか。
講師矢印の長さに時間の意味はありません。アクティビティ図が示すのは業務の内容と、どの順序で行うかです。順序と所要時間は別物で、所要時間やスケジュールの管理にはガントチャートやPERTを使います。
受験者なるほど、順序が分かるのと、かかる時間が分かるのは違うのですね。コストや成果物の品質指標も同じように考えればよいですか。
講師そのとおりです。金額や予算、品質指標を表す標準の記号もアクティビティ図にはありません。コストは見積書や原価計算表など、品質指標は仕様書や品質管理表などで扱うのが一般的です。
受験者では区画のほうですが、上の「業務群A/B」と左の「X/Y」は、どちらも担当者を表しているのでしょうか。
講師そこは書き分けて読む必要があります。縦に分かれた「業務群A/B」は業務のまとまりを示しています。担当を示しているのは、横に分かれた「X/Y」の区画です。このように担当ごとに分けた区画をスイムレーンといいます。
受験者業務aはXの行、業務bはYの行にあるので、業務aはX、業務bはYが担当している、と読めるわけですね。
講師はい。どの区画に業務を置くかで、だれがその業務を受け持つかが分かります。ですから、この図で表現できるのは業務で必要となる人の役割です。
受験者整理すると、アクティビティ図で分かるのは業務の内容と流れ、それにスイムレーンによる担当です。コスト、時間、品質は表現できない、ということですね。
講師よくまとまっています。補足すると、スイムレーンに書く担当は人や部署に限らず、システムや外部組織のこともあります。また、アクティビティ図では分岐のほかに、並行して進む処理を表すフォークやジョインも書けます。
まとめ
UMLのアクティビティ図は、業務や処理の流れをフローチャートのように表す図で、黒丸が開始、二重丸が終了、ひし形が分岐、角の丸い四角が業務を表します。図を担当ごとの区画(スイムレーン)に分けると、どの人・役割・部門がどの業務を受け持つかを表せます。例示の図では横の区画「X/Y」が担当を示し、縦の区画「業務群A/B」は業務のまとまりを示しています。一方、コスト、所要時間、成果物の品質指標を表す記号はアクティビティ図にはありません。業務の流れを表す図だからといって時間を表せるわけではない点が、引っかけになりやすいところです。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
業務の流れを描くUMLのアクティビティ図から、何が読み取れるかを選ぶ問題です。ポイントは、図を区切っている区画(スイムレーン)が何を表すかです。
解き方の考え方
最初に、アクティビティ図の記号を確認します。黒丸は開始、二重丸は終了、ひし形は分岐、角の丸い四角は業務、矢印は流れの向きです。次に、例示の図が「業務群A/B」と「X/Y」の区画に分かれ、各業務がどれかの区画に置かれていることに注目します。この区画はスイムレーンといい、その業務の担当を示します。最後に、コスト・時間・品質を書き込む記号が図にないことを確かめます。したがって、表現できるのは担当の役割だけです。
選択肢ごとの解説
- ×ア 業務で必要となるコストこの肢は、業務に必要なコストを表現できるという内容です。アクティビティ図には、コストを表す標準の記号がありません。図から分かるのは業務の内容と順序で、金額や予算は読み取れません。したがって誤りです。コストは見積書や原価計算表などで扱うのが一般的です。
- ×イ 業務で必要となる時間この肢は、業務に必要な時間を表現できるという内容です。アクティビティ図が示すのは業務を行う順序で、それぞれにかかる時間は示しません。矢印の長さにも時間の意味はありません。したがって誤りです。所要時間やスケジュールの管理には、ガントチャートやPERTが向いています。
- ×ウ 業務で必要となる成果物の品質指標この肢は、成果物の品質指標を表現できるという内容です。アクティビティ図には、品質指標を表す記号や要素がありません。したがって誤りです。品質指標は仕様書や品質管理表などで管理します。
- ○エ 業務で必要となる人の役割この肢は、業務に必要な人の役割を表現できるという内容です。アクティビティ図はスイムレーンで区画を分け、業務をどの区画に置くかで担当を示します。例示の図では、業務aがXの区画、業務bがYの区画にあります。そのため、aはX、bはYが担当すると読み取れます。したがって正しい肢です。
補足
「業務の流れ」を表す図だと分かっていると、順序とつながりのある「時間」を選びたくなりますが、これはよくある引っかけです。順序と所要時間は別のもので、時間の管理にはガントチャートやPERTを使います。また、スイムレーンは人や部署だけでなく、システムや外部組織を担当として書くこともできます。
POINT
- アクティビティ図は、業務や処理の流れを表すUMLの図で、フローチャートに似た書き方をします。
- 黒丸は開始、二重丸は終了、ひし形は分岐を表し、並行処理(フォーク・ジョイン)も書けます。
- スイムレーン(アクティビティパーティション)で区画を分けると、どの人・役割・部門がどの業務を担当するかを表せます。
- アクティビティ図から読み取れるのは業務の内容と流れだけで、コスト・所要時間・品質は表現できません。
