WBSには何を含め、どこまで細かくするのか
ITパスポート試験 令和4年度 問36 / プロジェクトマネジメント › プロジェクトマネジメント
過去問にチャレンジ
プロジェクトで作成するWBSに関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア
WBSではプロジェクトで実施すべき作業内容と成果物を定義するので,作業工数を見積もるときの根拠として使用できる。
- イ
WBSには,プロジェクトのスコープ外の作業も検討して含める。
- ウ
全てのプロジェクトにおいて,WBSは成果物と作業内容を同じ階層まで詳細化する。
- エ
プロジェクトの担当者がスコープ内の類似作業を実施する場合,WBSにはそれらの作業を記載しなくてよい。
会話形式の解説
講師今回はWBS、日本語では作業分解構成図についての問題です。WBSに含める作業の範囲、どこまで細かく分けるか、何に使えるか。この三つの観点で選択肢を見ていきます。
受験者WBSは名前を聞いたことがある程度です。プロジェクトの作業を細かく分けた一覧のようなもの、という理解で合っていますか。
講師おおむね合っています。正確には、プロジェクトのスコープ、つまり実施する範囲の中にある成果物と作業を、成果物を中心に階層的に分解した構造図です。ポイントは「スコープ内のものを、漏れなく」含めることです。
受験者それなら、スコープ外の作業も検討して含めるという選択肢は違いそうです。ただ、念のため外の作業も入れておいたほうが安全な気もしてしまいます。
講師そう感じる人は多いのですが、WBSに入れるのはスコープ内の作業だけです。スコープ外の作業が混ざると、本来は不要な工数や費用まで計画に入ってしまいます。
受験者では、担当者が似た作業をするなら記載しなくてよい、という選択肢はどうでしょうか。まとめて書けば済むように思えます。
講師スコープ内の作業であれば、似ているものでも省略せずに記載します。省略すると、工数の見積りや担当の割当てに漏れが出るおそれがあるからです。範囲は「外は入れない、内は漏らさない」と覚えておくと整理しやすいです。
受験者全てのプロジェクトで成果物と作業を同じ階層まで詳細化する、という選択肢は、きちんとしたルールのようにも読めました。
講師どの階層まで細かくするかに一律の決まりはありません。プロジェクトの規模や複雑さ、成果物や作業の性質によって変わります。「全てのプロジェクトにおいて」と言い切っている点が誤りです。
受験者残るのは、作業内容と成果物を定義するので工数見積りの根拠に使える、という選択肢ですね。分けた作業ごとに見積もって足せば全体が出る、ということでしょうか。
講師そのとおりです。WBSで成果物と、それを作るのに必要な作業の内容と範囲がはっきりします。分解した作業ごとに工数を見積もり、積み上げればプロジェクト全体の工数を求められます。これが正解です。
受験者まとめると、WBSはスコープ内の作業を過不足なく階層的に分解したもので、詳細化の深さはプロジェクト次第、そして工数見積りの根拠になる、ということですね。
講師よく整理できています。補足すると、WBSの最下位にある、管理できる作業単位をワークパッケージといいます。WBSは工数見積りだけでなく、スケジュール作成や担当者の割当ての基礎にもなります。選択肢に「全ての」のような言い切りや「記載しなくてよい」のような例外扱いが出てきたら、根拠を確かめながら読むと判断しやすくなります。
まとめ
WBS(作業分解構成図)は、プロジェクトのスコープ内の成果物と作業を、成果物を中心に階層的に分解した構造図です。WBSにはスコープ内の作業を、似た作業であっても省略せずに過不足なく含め、スコープ外の作業は含めません。どの階層まで詳細化するかに一律の決まりはなく、プロジェクトの規模や作業の性質に応じて決めます。分解した作業ごとに工数を見積もって積み上げれば全体の工数を求められるため、WBSは工数見積りの根拠として使えます。最下位の作業単位はワークパッケージと呼ばれ、スケジュール作成や担当の割当ての基礎にもなります。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
プロジェクトのスコープ管理で作るWBS(作業分解構成図)について、その目的、含める作業の範囲、詳細化の粒度を正しく理解しているかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、WBSが「スコープ内の成果物と作業を階層的に分解したもの」であることを押さえます。そのうえで、選択肢を「含める範囲は過不足がないか」「詳細化の深さは一律に決まっているか」「何に使えるか」の観点で確認します。範囲はスコープ内だけで、しかも漏れなく含めます。詳細化の深さはプロジェクトによって異なります。この二点を基準にすると、イ・ウ・エを外せます。
選択肢ごとの解説
- ○ア WBSではプロジェクトで実施すべき作業内容と成果物を定義するので,作業工数を見積もるときの根拠として使用できる。WBSを工数見積りの根拠に使えるという説明は正しいです。WBSでは、成果物と、それを作るために必要な作業の内容・範囲がはっきりします。分解した作業ごとに工数を見積もり、それを積み上げればプロジェクト全体の工数を求められます。
- ×イ WBSには,プロジェクトのスコープ外の作業も検討して含める。スコープ外の作業も検討して含めるという説明は誤りです。WBSに含めるのはスコープ内の作業だけです。スコープ外の作業が入ると、本来は不要な工数や費用まで計画に混ざってしまいます。
- ×ウ 全てのプロジェクトにおいて,WBSは成果物と作業内容を同じ階層まで詳細化する。全てのプロジェクトで成果物と作業を同じ階層まで詳細化するという説明は誤りです。どの階層まで細かくするかについて、一律の決まりはありません。プロジェクトの規模や複雑さ、成果物や作業の性質に応じて変わります。「全ての」という言い切りに注意してください。
- ×エ プロジェクトの担当者がスコープ内の類似作業を実施する場合,WBSにはそれらの作業を記載しなくてよい。担当者が類似作業を行う場合は記載しなくてよいという説明は誤りです。スコープ内の作業は、似たものであっても省略せずに記載します。省略すると、工数見積りや担当の割当てに漏れが出るおそれがあります。
補足
WBSの最下位にある、管理できる作業単位をワークパッケージといいます。WBSは工数見積りだけでなく、スケジュール作成や担当者の割当ての基礎にもなります。選択肢に「全ての」「記載しなくてよい」のような言い切りや例外扱いが出てきたら、誤りではないかと疑って読むと判断しやすくなります。
POINT
- WBSは、成果物を中心にプロジェクトの作業を階層的に分解した構造図です。
- WBSにはスコープ内の作業を過不足なく含め、スコープ外の作業は含めません。
- 分解した作業ごとに見積もった工数を積み上げると、全体の工数を求められます。
- 詳細化の深さは一律ではなく、プロジェクトや作業の性質に応じて決めます。
