プロジェクト統合マネジメントで終結時に行う活動とは
ITパスポート試験 令和6年度 問37 / プロジェクトマネジメント › プロジェクトマネジメント
過去問にチャレンジ
システム開発プロジェクトを終結する時に,プロジェクト統合マネジメントで実施する活動として,最も適切なものはどれか。
- ア
工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。
- イ
作成した全ての成果物の一覧を確認する。
- ウ
総費用の予算と実績の差異を分析する。
- エ
知識や教訓を組織の資産として登録する。
会話形式の解説
講師今回はプロジェクトを終結するときの活動の問題です。ポイントは「プロジェクト統合マネジメント」という言葉です。各選択肢の活動がどのマネジメント領域の仕事なのかを考えると、答えが絞れます。
受験者統合マネジメントがよく分かっていません。スコープやコストとはどう違うのですか。
講師統合マネジメントは、スコープ、スケジュール、コストといった個別の領域を調整して連携させる、全体のまとめ役の領域です。プロジェクトやフェーズの終結も統合マネジメントに含まれます。
受験者では、最後に予算と実績の差を分析するのは、全体の締めくくりなので統合マネジメントに入りそうに思えます。
講師そこは引っかかりやすいところです。総費用の予算と実績の差異分析はコストマネジメントの活動です。終結時に統合マネジメントで行う活動ではありません。
受験者そうすると、進捗の予定と実績の差異分析はスケジュールマネジメントの活動ですね。
講師そのとおりです。しかもこれは主に、プロジェクトの実行中に監視・コントロールとして行うものです。進捗のずれは作業の途中で確認して手を打つ、という流れです。
受験者全ての成果物の一覧を確認するのは、いかにも終わりのころにやる作業に見えて迷います。
講師終結の前提にはなる作業ですが、主にスコープマネジメント、つまり作るものの範囲を管理する領域の活動とされます。品質管理や構成管理にも関係しますが、統合マネジメントの終結活動の典型とはいえません。
受験者残るのは、知識や教訓を組織の資産として登録する活動ですね。これはどの領域にも限られない作業だと思います。
講師そうです。プロジェクトで得た知識や教訓を整理して「組織のプロセス資産」として登録しておくのが、統合マネジメントの終結と知識管理の活動です。次のプロジェクトで失敗を避けたり、うまくいった方法を活用したりできます。
受験者組織のプロセス資産というのは、具体的にはどんなものですか。
講師手順書やテンプレート、過去の記録、教訓集などです。実務でも、前のプロジェクトの振り返り資料が次の計画づくりに役立つことは多いです。
受験者進捗はスケジュール、費用はコスト、成果物の範囲はスコープと振り分けて、全体の経験を組織に引き継ぐものが統合マネジメント、と整理すればよいのですね。
講師その整理で大丈夫です。終結時には成果物の受入れや記録の保管なども行われるので、「終わりのころにやりそうな作業」が引っかけとして並びがちです。迷ったら、特定の一領域の作業なのか、プロジェクト全体をまとめて組織に引き継ぐ作業なのかで判断してください。
まとめ
プロジェクト統合マネジメントは、スコープ・スケジュール・コストなどの各領域を調整して連携させる領域で、プロジェクトの終結もここに含まれます。終結時には、得られた知識や教訓を整理し、組織のプロセス資産として登録します。進捗の差異分析はスケジュール、費用の差異分析はコスト、成果物の範囲確認はスコープの活動なので、統合マネジメントの終結活動には当たりません。迷ったときは、一つの領域の作業か、全体の経験を組織に引き継ぐ作業かで見分けるとよいでしょう。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
プロジェクト統合マネジメントの役割を理解し、プロジェクトを終結するときに統合マネジメントとして行う活動を選べるかを問う問題です。
解き方の考え方
まず、各選択肢の活動がどのマネジメント領域の仕事かを考えます。進捗はスケジュール、費用はコスト、成果物の範囲はスコープというように、個別の領域に振り分けられるものを外していきます。最後に残った「領域をまたいでプロジェクト全体の経験を組織に引き継ぐ活動」が、統合マネジメントの終結活動に当たります。
選択肢ごとの解説
- ×ア 工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。アの「進捗の予定と実績の差異分析」は、スケジュール(タイム)マネジメントの活動です。しかも主に、プロジェクト実行中の監視・コントロールの段階で行うものです。終結時に統合マネジメントで行う活動ではありません。
- ×イ 作成した全ての成果物の一覧を確認する。イの「全成果物の一覧の確認」は、主にスコープマネジメントの活動とされます。品質管理や構成管理にも関係する作業です。終結の前提にはなりますが、統合マネジメントの終結活動の典型とはいえません。
- ×ウ 総費用の予算と実績の差異を分析する。ウの「総費用の予算と実績の差異分析」は、コストマネジメントの活動です。費用という一つの領域に限った分析なので、全体を調整する統合マネジメントの活動には当たりません。
- ○エ 知識や教訓を組織の資産として登録する。エの「知識や教訓を組織の資産として登録する」は、統合マネジメントの終結と知識管理の活動です。プロジェクトで得た知識や教訓を整理して組織のプロセス資産にしておくと、次のプロジェクトで失敗を避けたり、うまくいった方法を活用したりできます。
補足
終結時には成果物の受入れや契約の完了、記録の保管なども行うため、イのような「終結のころに行いそうな作業」が引っかけとして並びます。迷ったときは、その活動が特定の一領域の作業なのか、プロジェクト全体をまとめて組織に引き継ぐ作業なのかで判断するとよいでしょう。
POINT
- プロジェクト統合マネジメントは、スコープ・スケジュール・コストなど各マネジメント活動を調整し、連携させる領域です。
- プロジェクトやフェーズの終結は、統合マネジメントに含まれる活動です。
- 終結時には、得られた知識や教訓を整理して組織のプロセス資産として登録します。
- 組織のプロセス資産には、手順書やテンプレート、過去の記録、教訓集などがあります。
- 進捗の差異分析はスケジュール、費用の差異分析はコスト、成果物の範囲確認はスコープの活動と覚えておくと、選択肢を振り分けやすくなります。
