人的資源計画で考慮すべき事項とは?スキルと役割分担の考え方
ITパスポート試験 令和7年度 問55 / プロジェクトマネジメント › プロジェクトマネジメント
過去問にチャレンジ
システム開発プロジェクトの開始に当たり、人的資源に関する計画書を作成することにした。この計画において、要員を適切に配置し,より良いパフォーマンスを得るために考慮すべき事項として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a プロジェクトに必要なスキルが要員に不足している場合は、トレーニングを計画する。 b プロジェクトに必要なスキルよりも、要員の確保を常に優先するように計画する。 c 要員をフレキシブルに配置するために、要員の役割と責任は、プロジェクトの計画段階では明確にせず、プロジェクトの開始後に定める。
- ア
a
- イ
a,b,c
- ウ
a,c
- エ
c
会話形式の解説
講師今回はプロジェクトの人的資源計画、つまり「誰に、どの役割を、どのスキルで担ってもらうか」を決める計画がテーマです。三つの記述を一つずつ、適切か不適切かに分けてから組合せを選びましょう。
受験者スキルが足りない要員にトレーニングを計画するという記述は、当たり前のことなので適切だと思いました。
講師そのとおりです。人的資源計画では、要員の役割、責任、必要なスキル、報告関係を特定して、管理の方法を定めます。必要なスキルと要員のスキルに差があれば、トレーニングで埋める計画を立てます。それがパフォーマンスの向上につながります。
受験者「スキルよりも要員の確保を常に優先する」という記述は迷いました。人手が足りないと困るので、まず人数をそろえるのも大事ではないでしょうか。
講師人数をそろえること自体は大切です。ただ、必要なスキルを軽く見て人数だけを優先すると、品質の低下や遅れを招きます。要員は、必要なスキルを持つ人を確保するように計画するのが基本です。なので、この記述は不適切です。
受験者では、役割と責任を計画段階では決めずに開始後に定める、という記述はどうですか。「フレキシブルに配置するため」と書かれていると、良い工夫のようにも見えます。
講師そこが引っかけです。役割と責任が決まっていないと、誰が何を担当するのかがあいまいになります。その結果、作業が重複したり漏れたりして、手戻りが起きやすくなります。役割と責任は計画段階で明確にするべきなので、これも不適切です。
受験者そうすると、適切なのはトレーニングの記述だけです。aだけを挙げた組合せが正解ですね。
講師そうです。全部を含む組合せは、不適切な二つが入っているので誤りです。aとcの組合せは、役割を後回しにする記述が入っているので誤りです。cだけの組合せは、役割と責任を計画段階で決めないという不適切な記述だけを挙げています。しかも適切なトレーニングの記述が入っていません。
受験者「スキル不足を補う」「役割を事前に決める」は計画の目的に合っていて、「スキルを軽く見る」「役割を後回しにする」は合わない、と整理すると覚えやすいです。
講師良い整理です。補足すると、役割と責任を明確にする道具に責任分担表があります。RACI図などがその例で、誰がどの作業を担当するかを一覧で示します。また、「常に」のような言い切りの表現は、誤りの目印になることがあります。もっともらしい理由が付いた記述と合わせて、注意して読みましょう。
まとめ
システム開発プロジェクトの人的資源計画では、要員の役割、責任、必要スキル、報告関係を特定し、管理方法を定めます。要員のスキルが不足している場合にトレーニングを計画するのは、スキルの差を埋めてパフォーマンスを高めるために適切です。スキルよりも要員の確保を常に優先すると品質低下や遅延を招くので、必要なスキルを持つ人を確保するよう計画します。役割と責任を開始後に決めると作業の重複・漏れや手戻りが起きるため、計画段階で明確にします。したがって、適切なのはトレーニングの記述だけです。
解答・解説
正解はアです
この問題のテーマ
システム開発プロジェクトの人的資源計画で、要員を適切に配置してより良いパフォーマンスを得るために何を考慮すべきかを問う問題です。記述a〜cのうち適切なものの組合せを選びます。
解き方の考え方
まず記述a〜cを一つずつ、適切か不適切かに分けます。人的資源計画は、要員の役割・責任・必要スキルを特定して管理方法を定めるものだと押さえておけば判断できます。「スキル不足を補う」「役割を事前に決める」は計画の目的に合いますが、「スキルを軽視する」「役割を後回しにする」は合いません。最後に、適切な記述だけをちょうど含む組合せを選びます。
選択肢ごとの解説
- ○ア aaだけを挙げた組合せです。aは、必要なスキルが要員に足りないときにトレーニングを計画するという内容です。スキルの差を埋めればパフォーマンスの向上につながるので、適切です。bとcは後述のとおり不適切なので、aだけを挙げたこの組合せが正解です。
- ×イ a,b,ca、b、cをすべて含んでいます。bの「スキルよりも要員の確保を常に優先する」計画は、品質の低下や遅延を招くので不適切です。必要なスキルを持つ要員を確保するように計画するべきです。cも不適切なので、この組合せは誤りです。
- ×ウ a,caは適切ですが、cも含んでいます。cは、柔軟に配置するために役割と責任を計画段階では決めず、開始後に定めるという内容です。これでは責任の所在があいまいになり、作業の重複や漏れ、手戻りを招きます。役割と責任は計画段階で明確にするべきなので、誤りです。
- ×エ c不適切なcの「役割と責任を開始後に定める」だけを挙げており、適切なaのトレーニング計画が入っていません。二重に誤った組合せです。
補足
役割と責任を明確にする道具には、責任分担表(RACI図など)があり、誰がどの作業を担当するかを一覧で示します。cの「フレキシブルに配置するため」のように、もっともらしい理由が付いた記述は引っかけになりやすいので注意しましょう。また、bの「常に」のような言い切りの表現は、不適切な記述によく使われます。
POINT
- 人的資源計画では、要員の役割、責任、必要スキル、報告関係を特定し、管理方法を定めます。
- 要員のスキルが不足している場合は、トレーニングでスキルの差を埋めることを計画します。
- 要員は人数をそろえるだけでなく、必要なスキルを持つ人を確保するように計画します。
- 役割と責任はプロジェクトの計画段階で明確にし、作業の重複・漏れや手戻りを防ぎます。
