マナビング基本情報技術者

委託開発したプログラムの著作権は最初に誰のものになるか

基本情報技術者試験 平成30年度春期 午前 問79 / 法務 › 知的財産権

過去問にチャレンジ

平成30年度春期 午前 問79

A社は,B社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず,A社の要求仕様に基づいて,販売管理システムのプログラム作成をB社に委託した。この場合のプログラム著作権の原始的帰属はどれか。

  1. ア

    A社とB社が話し合って決定する。

  2. イ

    A社とB社の共有となる。

  3. ウ

    A社に帰属する。

  4. エ

    B社に帰属する。

会話形式の解説

講師講師
今回はプログラムの著作権の帰属がテーマです。注目点は二つあって、「原始的帰属」という言葉の意味と、権利について特段の取決めがないという条件です。
受験者受験者
お金を払って作ってもらったのは発注した側なので、発注者に帰属するのが自然に思えました。
講師講師
そう考える人は多いです。まず言葉を確認しましょう。原始的帰属とは、著作権が最初に誰に生じるかという意味です。そして著作権法では、原則として著作物を創作した者を基準に判断します。この問題で、実際にプログラムを作ったのはどちらですか。
受験者受験者
委託を受けたB社です。でもA社も要求仕様を出しているので、創作に関わっているとは言えないのでしょうか。
講師講師
そこが引っかけの中心です。要求仕様は、何を作ってほしいかを示したものです。仕様を示したことと、プログラムそのものを創作したことは同じではありません。ですから、A社に帰属するという選択肢は、仕様の提示と創作を同一視している点が誤りです。
受験者受験者
では、A社とB社の共有になるという選択肢はどうですか。両社とも関わっているので、間をとった答えに見えます。
講師講師
共有というのは、両社が共同で創作した場合に考えるものです。A社が発注してB社が受注したという関係があるだけでは、共同で創作したことにはなりません。なので共有も適切ではありません。
受験者受験者
話し合って決定するという選択肢も、現場では実際に話し合いそうなので迷いました。
講師講師
実務の感覚としては分かります。ただ、問われているのは最初に誰に権利が生じるかです。原始的帰属は協議で決まるものではないので、この選択肢も誤りです。
受験者受験者
つまり、取決めがない以上、プログラムを創作したB社に著作権が原始的に帰属する、ということですね。発注者かどうかではなく、誰が作ったかで考えるのだと分かりました。
講師講師
その通りです。正解はB社に帰属するという選択肢です。委託の問題では、発注者と創作者を分けて考えることに加えて、問題文で権利に関する取決めの有無を必ず確かめてください。今回のように取決めがないと明記されている点が、判断の手がかりになります。

まとめ

取決めをせずにプログラム作成を委託した場合の著作権の原始的帰属を問う問題です。原始的帰属とは、著作権が最初に誰に生じるかという意味で、原則として創作した者を基準に判断します。要求仕様を示した発注者のA社ではなく、実際にプログラムを作成したB社に帰属するのが正解です。発注と受注の関係だけでは共同創作にならないため共有ではなく、原始的帰属は協議で決まるものでもありません。委託の問題では、発注者と創作者を分け、権利の取決めの有無を問題文で確認することが大切です。

解答・解説

正解はエです

この問題のテーマ

委託して作成されたプログラムの著作権が、最初に誰に帰属するかを問う問題です。

解き方の考え方

著作権の原始的帰属は、原則として誰が著作物を創作したかで判断します。A社は要求仕様を示して作成を委託し、B社がプログラムを作成しています。権利について特段の取決めもないため、正解はB社に帰属するエです。

選択肢ごとの解説

  1. ×ア  A社とB社が話し合って決定する。
    アの「話し合って決定する」という説明は、原始的帰属を協議で決めるものとしている点が違います。本問では、権利について後から話し合うことを帰属の条件とはしていません。
  2. ×イ  A社とB社の共有となる。
    イの「共有となる」という説明も適切ではありません。A社が発注しB社が受注したという関係だけで、両社が共同で創作したことにはなりません。
  3. ×ウ  A社に帰属する。
    ウの「A社に帰属する」という説明は、要求仕様の提示とプログラムの創作を同一視しています。仕様を示しただけでは、A社がプログラムの著作権を原始的に取得する根拠にはなりません。
  4. ○エ  B社に帰属する。
    エの「B社に帰属する」が正解です。本問では、B社が委託を受けてプログラムを作成しているため、プログラム著作権はB社に原始的に帰属します。

POINT

  • 「原始的帰属」は、著作権が最初に誰に生じるかという意味です。
  • 発注者であることと、プログラムを創作したことは分けて考えます。
  • 委託の問題では、権利に関する取決めの有無も問題文で確認します。

※出典:平成30年度春期 基本情報技術者試験 午前 問79