カーボンフットプリントとは何か、似た用語とどう区別するか
基本情報技術者試験 令和7年度 問20 / 企業活動 › 経営・組織論
過去問にチャレンジ
カーボンフットプリントの説明として,適切なものはどれか。
- ア
温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする取組
- イ
原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を,CO2量に換算して,その値を商品やサービスに表示すること
- ウ
自動車のエンジンから排出される一酸化炭素,窒素酸化物や炭化水素類などの大気汚染物質の排出量の定め
- エ
商品がどのような場所で作られて,流通し,販売されているかを把握するための仕組み
会話形式の解説
講師今回はカーボンフットプリントという用語の意味を問う問題です。環境や流通に関係する似た用語が選択肢に並んでいるので、区別できるかどうかがポイントです。
受験者「カーボン」が付く言葉が多くて、私はいつも混ざってしまいます。カーボンニュートラルとは何が違うのでしょうか。
講師用語を分けて読むと分かりやすいです。「フット」は足、「プリント」は跡なので、商品が生まれてから捨てられるまでに残す「炭素の足跡」という意味になります。つまり、どれだけ出したかを測って示すものです。
受験者足跡ということは、原材料の調達から廃棄・リサイクルまでの排出量を数えて、商品に表示するという説明が当てはまりそうです。
講師そのとおりです。「ライフサイクル全体」「温室効果ガスの排出量」「CO2量に換算して表示」の3つがそろっているので、これが正解です。排出量が見える化されると、環境負荷を比べたり削減に取り組んだりしやすくなります。
受験者排出量から吸収量と除去量を差し引いて合計をゼロにする取組という選択肢は、カーボンニュートラルの説明ですね。
講師はい。カーボンフットプリントは排出量を算定して表示するもので、排出と吸収を相殺してゼロを目指す取組とは別の考え方です。
受験者自動車のエンジンから出る一酸化炭素や窒素酸化物の排出量を定めるという選択肢も、排出量の話なので少し迷いました。
講師それは自動車排出ガス規制という制度の内容です。対象は主に大気汚染物質の規制値で、商品のライフサイクル全体の温室効果ガス排出量を示すものではありません。
受験者残りの、どこで作られてどう流通し販売されたかを把握する仕組みは、トレーサビリティでしょうか。
講師そうです。トレーサビリティは追跡可能性という意味で、たどっているのは場所や履歴です。温室効果ガスの排出量は扱っていません。
受験者整理すると、排出量を表示するのがカーボンフットプリント、差し引きゼロを目指すのがカーボンニュートラル、履歴をたどるのがトレーサビリティ、ということですね。
講師よく整理できています。補足すると、CO2以外の温室効果ガスも温室効果の大きさに応じてCO2量に換算して合算するので、表示は「CO2相当量」になります。また、製品の一生を通じた環境影響を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)という手法も、カーボンフットプリントと関係が深いので一緒に覚えておくとよいです。
まとめ
カーボンフットプリントは、商品やサービスのライフサイクル全体(原材料調達、製造、流通、使用、廃棄・リサイクル)で排出される温室効果ガスをCO2相当量に換算し、表示する仕組みです。排出量から吸収量・除去量を差し引いて実質ゼロにする取組はカーボンニュートラル、製造から販売までの場所や履歴をたどる仕組みはトレーサビリティであり、別の概念です。自動車のエンジンから出る大気汚染物質の排出量の定めは、自動車排出ガス規制の内容です。「表示するのがカーボンフットプリント、差し引きゼロを目指すのがカーボンニュートラル」と覚えると取り違えにくくなります。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
カーボンフットプリント(CFP)の意味を、カーボンニュートラルやトレーサビリティなど、環境・流通分野の似た用語と区別できるかを問う問題です。
解き方の考え方
用語を「フット(足)」と「プリント(跡)」に分けると、商品が生まれてから捨てられるまでに残す「炭素の足跡」と読めます。そこで、まず「ライフサイクル全体」「温室効果ガスの排出量」「CO2換算で表示」という3つの要素がそろっている選択肢を探します。残りの選択肢は、それぞれ別の用語の説明なので、その用語名を当てはめて消していくと確実に解けます。
選択肢ごとの解説
- ×ア 温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする取組排出量から吸収量と除去量を差し引いて、合計をゼロにする取組の説明です。これはカーボンニュートラルを指します。CFPは排出量を算定して表示するものであり、排出と吸収を相殺してゼロにする取組とは別の概念です。
- ○イ 原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を,CO2量に換算して,その値を商品やサービスに表示すること原材料の調達から製造・流通・使用・廃棄・リサイクルまで、ライフサイクル全体の温室効果ガス排出量をCO2量に換算し、商品やサービスに表示するという説明です。これはCFPの定義どおりです。排出量を見える化すると、環境負荷を比べたり削減に取り組んだりしやすくなります。
- ×ウ 自動車のエンジンから排出される一酸化炭素,窒素酸化物や炭化水素類などの大気汚染物質の排出量の定め自動車のエンジンから出る一酸化炭素や窒素酸化物などの排出量を定めるという説明です。これは自動車排出ガス規制の内容です。ここで対象になっているのは主に大気汚染物質の規制値であり、商品のライフサイクル全体の温室効果ガス排出量を示すものではありません。
- ×エ 商品がどのような場所で作られて,流通し,販売されているかを把握するための仕組み商品がどこで作られ、どう流通して販売されたかを把握する仕組みの説明です。これはトレーサビリティ(追跡可能性)を指します。たどっているのは場所や履歴であり、温室効果ガスの排出量ではありません。
補足
CO2以外の温室効果ガスも、温室効果の大きさに応じてCO2量に換算してから合算します。そのため、表示は「CO2相当量」になります。CFPと関係の深い手法に、製品の一生を通じた環境影響を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)があります。「排出量を表示する」のがCFP、「差し引きゼロを目指す」のがカーボンニュートラルと覚えておくと、取り違えにくくなります。
POINT
- カーボンフットプリントは、商品やサービスのライフサイクル全体で出る温室効果ガスの排出量をCO2相当量に換算し、表示する仕組みです。
- ここでいうライフサイクルには、原材料調達、製造、流通、使用、廃棄・リサイクルの各段階が含まれます。
- 排出量から吸収量・除去量を差し引いて実質ゼロにする取組は、カーボンニュートラルと呼びます。
- 製造から販売までの場所や履歴をたどれるようにする仕組みは、トレーサビリティと呼びます。
