リリース及び展開管理と変更管理、本番導入の担当はどちらか
ITパスポート試験 令和3年度 問37 / サービスマネジメント › サービスマネジメント
過去問にチャレンジ
システムの利用者数が当初の想定よりも増えてシステムのレスポンスが悪化したので,増強のためにサーバを1台追加することにした。動作テストが終わったサーバをシステムに組み入れて稼働させた。この作業を実施するITサービスマネジメントのプロセスとして,適切なものはどれか。
- ア
インシデント管理
- イ
変更管理
- ウ
問題管理
- エ
リリース及び展開管理
会話形式の解説
講師今回はITサービスマネジメント、つまりITサービスを安定して提供するための管理の仕組みについての問題です。注目してほしいのは、問題文で実際に行っている作業が何かという点です。
受験者サーバを1台追加しているので、システムを変える作業ですよね。私は最初、変更管理だと思いました。
講師そう考える人は多いです。ただ、問題文をよく見ると「動作テストが終わったサーバを組み入れて稼働させた」とあります。変更してよいかを判断する段階は、もう終わっているのです。
受験者なるほど。では変更管理は、どの段階を受け持つプロセスなのですか。
講師変更管理は、変更の影響やリスクを評価して、その変更を承認するかどうかを扱うプロセスです。サーバの追加も変更の一つなので、事前の評価と承認は変更管理で行います。しかし、テスト済みのサーバを本番環境へ実際に組み入れる作業は、変更管理の受け持ちではありません。
受験者その本番に組み入れる作業を受け持つのが、リリース及び展開管理ということですね。
講師そのとおりです。リリース及び展開管理は、変更した構成要素を本番環境に導入するプロセスです。今回の作業は、この「本番への導入」にそのまま当たります。
受験者レスポンスが悪化したことがきっかけなので、インシデント管理も関係ありそうに見えました。
講師インシデント管理は、低下したサービスをできるだけ早く元に戻すためのプロセスです。たしかにきっかけはレスポンスの悪化ですが、問われているのはサーバを増やして本番に組み入れる作業なので、サービスの回復を受け持つプロセスとは違います。
受験者問題管理も名前が似ていて紛らわしいです。原因を調べるプロセスでしたか。
講師はい。問題管理は、インシデントの根本原因を調べて再発を防ぐ策を考えるプロセスです。今回は原因の調査ではなく、用意したサーバを導入する作業なので、問題管理にも当たりません。
受験者整理すると、変更管理で評価と承認をして、その後にリリース及び展開管理で本番に導入する、という順番で考えればよいのですね。
講師その流れで覚えると区別しやすくなります。問題文に「テストが終わった」「本番に組み入れた」「稼働させた」といった語句があれば、リリース及び展開管理を指している手がかりになります。反対に、「サーバ追加」のように変更が話題になっているだけで変更管理を選んでしまうのが、よくある引っかけです。
まとめ
テスト済みのサーバを本番のシステムに組み入れて稼働させる作業は、ITサービスマネジメントのリリース及び展開管理に当たります。リリース及び展開管理は、変更した構成要素を本番環境に導入するプロセスです。変更管理は変更の影響やリスクを評価して承認するかどうかを扱うプロセスで、本番への導入そのものは受け持ちません。インシデント管理は低下したサービスの早期回復、問題管理は根本原因の調査と再発防止策の検討が目的です。「変更管理で承認し、リリース及び展開管理で導入する」という順番で覚えると区別しやすくなります。
解答・解説
正解はエです
この問題のテーマ
ITサービスマネジメントの各プロセスがどんな作業を受け持つかを問う問題です。テストが済んだサーバを本番のシステムに組み入れて動かす作業が、どのプロセスに当たるかを見極めます。
解き方の考え方
まず、問題文の中で実際に行っている作業を確かめます。ここで行っているのは、「動作テストが終わったサーバを組み入れて稼働させた」という作業です。この作業は、変更してよいかを判断する段階ではありません。すでに準備ができたものを本番環境へ導入する段階です。そこで、各プロセスが「何を受け持つか」を一つずつ当てはめていくと、本番への導入を担うリリース及び展開管理が残ります。
選択肢ごとの解説
- ×ア インシデント管理アのインシデント管理は、低下したサービスをできるだけ早く元に戻すためのプロセスです。今回はレスポンスの悪化がきっかけですが、問われているのはサーバを増やして本番に組み入れる作業です。そのため、サービスの回復を受け持つプロセスとは違います。
- ×イ 変更管理イの変更管理は、変更の影響やリスクを評価し、その変更を承認するかどうかを扱うプロセスです。サーバの追加も変更の一つなので、事前の評価と承認は変更管理で行います。しかし、テスト済みのサーバを本番環境へ実際に組み入れる作業は変更管理の受け持ちではなく、リリース及び展開管理の受け持ちです。
- ×ウ 問題管理ウの問題管理は、インシデントの根本原因を調べて、再発を防ぐ策を考えるプロセスです。今回の作業は原因の調査ではありません。用意したサーバを導入する作業なので、問題管理には当たりません。
- ○エ リリース及び展開管理エのリリース及び展開管理は、変更した構成要素を本番環境に導入するプロセスです。動作テストを終えたサーバをシステムに組み入れて稼働させる作業は、この「本番への導入」にそのまま当たります。したがって、これが正解です。
補足
変更管理とリリース及び展開管理は混同しやすいので注意が必要です。流れとしては、変更管理で変更を評価・承認し、その後、リリース及び展開管理で本番環境に導入する、という順番で考えると区別しやすくなります。問題文に「テストが終わった」「本番に組み入れた」「稼働させた」といった語句があれば、リリース及び展開管理を指していると判断する手がかりになります。
POINT
- リリース及び展開管理は、変更した構成要素(テスト済みのサーバなど)を本番環境に導入するプロセスです。
- 変更管理は、変更の影響やリスクを評価し、承認するかどうかを決めるプロセスです。
- インシデント管理は、低下したサービスを早く回復させることが目的です。
- 問題管理は、インシデントの根本原因を調べて再発防止策を考えることが目的です。
