マナビング基本情報技術者

オムニチャネル戦略を実現するIT活用事例の見分け方

基本情報技術者試験 令和8年度 問16 / 経営戦略マネジメント › マーケティング

過去問にチャレンジ

令和8年度 問16

小売事業者が,オムニチャネル戦略を実現するためのIT活用事例はどれか。

  1. ア

    実店舗,オンライン店舗,コールセンタなど複数の顧客接点で,顧客情報や在庫情報などを一元的に管理・共有して接客することによって,顧客の利便性を高める。

  2. イ

    複数店舗からネットワークを経由して,受発注,出荷,請求,支払などの取引情報を電子的に交換することによって,卸売業者とメーカとの間の受発注業務の効率を高める。

  3. ウ

    複数店舗に設置した監視カメラの画像データを本部に集め,本部が各店舗の状況をリアルタイムに把握することによって,店舗運営業務の効率を高める。

  4. エ

    複数店舗のPOSデータを本部に集め,本部が日次で売れ筋商品の抽出,複数の商品の併売率の分析を行うことによって,商品計画や棚割計画を最適化する。

会話形式の解説

講師講師
この問題は、オムニチャネル戦略がどういう考え方かを押さえているかを問うものです。オムニチャネルとは、実店舗やオンライン店舗など複数の顧客接点、つまりお客様との接点を連携させて、どこでも一貫したサービスを提供する戦略です。この定義に当てはまる事例を探しましょう。
受験者受験者
選択肢を見ると、どれも「複数店舗」や「本部に集める」といった話で、全部それらしく見えてしまいます。
講師講師
そこが迷いやすいところです。判断の軸は、その取組みが「顧客接点どうしの連携」なのか、「社内業務や取引先との業務の効率化」なのかです。
受験者受験者
そうすると、実店舗、オンライン店舗、コールセンタで顧客情報や在庫情報を一元管理・共有する事例は、顧客接点どうしをつないでいますね。
講師講師
そのとおりです。たとえばオンラインで見た商品を店舗で受け取ったり、他店舗の在庫を案内したりできます。顧客はどの接点からでも一貫したサービスを受けられるので、オムニチャネルの考え方そのものです。これが正解です。
受験者受験者
受発注や請求などの取引情報を電子的に交換する事例は、EDIのことだと思います。相手は卸売業者やメーカなので、顧客接点とは違いますね。
講師講師
はい。EDIは取引先との受発注業務を効率化するもので、顧客との接点を統合するものではありません。
受験者受験者
監視カメラの画像を本部に集める事例と、POSデータで売れ筋や併売率を分析する事例は、どちらも本部側の業務改善という理解でよいでしょうか。
講師講師
よいです。監視カメラのほうは店舗運営業務の効率化が目的です。POSデータ分析は商品計画や棚割の最適化に役立ちますが、どちらにも顧客接点どうしの連携は含まれていません。
受験者受験者
つまり、顧客から見て接点がつながっていて、利便性が高まるかどうかで判断すればよいのですね。
講師講師
そうです。あわせて、似た言葉のマルチチャネルも覚えておきましょう。複数の販売経路を別々に持っているだけで、情報が統合されていない状態を指し、オムニチャネルとは区別されます。「複数店舗」「本部に集める」という言葉に引きずられないことが大切です。

まとめ

オムニチャネル戦略とは、実店舗やオンライン店舗、コールセンタなど複数の顧客接点を連携させ、どこでも一貫したサービスを提供する戦略です。実現のかぎは、顧客情報や在庫情報を接点間で一元的に管理・共有することで、主な目的は顧客の利便性を高めることです。取引情報を電子的に交換するのはEDI、売れ筋や併売率を分析するのはPOSデータ分析で、どちらも社内や取引先との業務効率化にあたります。複数の販売経路が別々にあるだけで情報が統合されていない状態はマルチチャネルと呼ばれ、オムニチャネルとは区別されます。

解答・解説

正解はアです

この問題のテーマ

オムニチャネル戦略がどのような考え方かを理解したうえで、それを実現するIT活用事例を選べるかを問う問題です。

解き方の考え方

まず、オムニチャネルは実店舗やオンライン店舗など複数の顧客接点を連携させ、どの接点でも一貫したサービスを提供する戦略だと押さえます。次に、各選択肢の取組みが「顧客接点どうしの連携」なのか、「社内業務や取引先との業務の効率化」なのかを見分けます。顧客情報や在庫情報を接点間で共有し、顧客の利便性を高めている選択肢が正解になります。

選択肢ごとの解説

  1. ○ア  実店舗,オンライン店舗,コールセンタなど複数の顧客接点で,顧客情報や在庫情報などを一元的に管理・共有して接客することによって,顧客の利便性を高める。
    実店舗、オンライン店舗、コールセンタといった複数の顧客接点で、顧客情報や在庫情報を一元管理・共有する事例です。オンラインで見た商品を店舗で受け取ったり、他店舗の在庫を案内したりできるようになり、顧客はどの接点からでも一貫したサービスを受けられます。これはオムニチャネルの考え方そのものです。
  2. ×イ  複数店舗からネットワークを経由して,受発注,出荷,請求,支払などの取引情報を電子的に交換することによって,卸売業者とメーカとの間の受発注業務の効率を高める。
    受発注や請求などの取引情報を電子的に交換する取組みで、EDIの事例です。取引先との受発注業務を効率化するもので、顧客との接点を統合するものではありません。
  3. ×ウ  複数店舗に設置した監視カメラの画像データを本部に集め,本部が各店舗の状況をリアルタイムに把握することによって,店舗運営業務の効率を高める。
    監視カメラの画像を本部に集めて、各店舗の状況を遠隔から把握する事例です。目的は店舗運営業務の効率化であり、販売チャネルの連携とは関係がありません。
  4. ×エ  複数店舗のPOSデータを本部に集め,本部が日次で売れ筋商品の抽出,複数の商品の併売率の分析を行うことによって,商品計画や棚割計画を最適化する。
    POSデータを集めて売れ筋商品や併売率を分析する事例です。商品計画や棚割の最適化には役立ちますが、顧客接点どうしの連携は含まれていません。

補足

似た言葉にマルチチャネルがあります。複数の販売経路をそれぞれ別々に持っているだけで、情報が統合されていない状態を指すため、オムニチャネルとは区別されます。「複数店舗」「本部に集める」という言葉に引きずられず、顧客から見て接点がつながっているかどうかで判断すると迷いにくくなります。

POINT

  • オムニチャネルとは、実店舗やオンライン店舗などの複数の顧客接点を連携させ、どこでも一貫した購買体験を提供する戦略です。
  • 実現のかぎは、顧客情報や在庫情報を接点間で一元的に管理・共有することです。
  • オムニチャネルの主な目的は、社内の効率化ではなく顧客の利便性を高めることです。
  • 取引情報の電子交換はEDI、売れ筋や併売の分析はPOSデータ分析として区別して覚えましょう。

※出典:令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 問16