スケールメリットとシナジー効果はどう見分けるか
基本情報技術者試験 平成30年度春期 午前 問67 / 経営戦略マネジメント › 経営戦略手法
過去問にチャレンジ
あるメーカがビールと清涼飲料水を生産する場合、表に示すように6種類のケース(A〜F)によって異なるコストが掛かる。このメーカーの両製品の生産活動におけるスケールメリットとシナジー効果に関する記述のうち、適切なものはどれか。

- ア
スケールメリットはあるが,シナジー効果はない。
- イ
スケールメリットはないが,シナジー効果はある。
- ウ
スケールメリットとシナジー効果がともにある。
- エ
スケールメリットとシナジー効果がともにない。
会話形式の解説
講師この表では、生産量を増やしたときと、2製品を一緒に作ったときを分けて比べます。まず、スケールメリットは何を見て判断しますか。
受験者総費用ではなく、1本当たりの費用です。ビールから計算してみます。
講師ビールを20万本から40万本に増やすと、1本当たりはいくらになりますか。
受験者1,500万円÷20万本で75円、3,300万円÷40万本で82.5円です。量を増やすと、1本当たりは高くなります。
講師清涼飲料水も10万本から20万本に増やすと、1本当たり50円から55円に上がります。この比較では、どちらにもスケールメリットはありません。
受験者シナジー効果は、2製品を別々に作る場合と比べるのですね。生産量もそろえますか。
講師はい。ビール20万本と清涼飲料水10万本を別々に作ると、1,500万+500万=2,000万円です。同時に作ると1,900万円になります。
受験者同じ量でも、同時に作るほうが100万円安いです。もう一つの組合せも確かめたいです。
講師ビール40万本と清涼飲料水20万本は、別々なら3,300万+1,100万=4,400万円、同時なら4,200万円です。こちらも200万円安くなります。
受験者スケールメリットはなく、同時生産によるシナジー効果はある、という記述が正解のイですね。
講師そうです。「スケールメリットはあるが、シナジー効果はない」は両方の判断が違います。「両方ある」も、スケールメリットの部分が違います。
受験者「両方ない」は、スケールメリットがない点は合いますが、同時生産の費用低下を見落としています。
講師そのとおりです。スケールメリットは1本当たりの費用で、シナジー効果は同じ量を別々に作る費用との比較で判断します。
まとめ
スケールメリットは、生産量を増やしたときの1本当たりの費用で判断します。表ではビールも清涼飲料水も1本当たりの費用が上がるため、スケールメリットはありません。一方、同じ量の2製品を別々に作るより同時に作るほうが安く、シナジー効果はあります。したがって正解はイです。
解答・解説
正解はイです
この問題のテーマ
生産量を増やしたときの平均費用と、2製品を同時に作ったときの費用を表から判断する問題です。
解き方の考え方
スケールメリットは、各製品の生産量を2倍にしたときの1本当たりの費用で判断します。ビールはAの75円からBの82.5円、清涼飲料水はCの50円からDの55円に上がるため、本問の生産量ではスケールメリットはありません。一方、Eの1,900万円は同量を別々に作るAとCの合計2,000万円より100万円安く、Fの4,200万円もBとDの合計4,400万円より200万円安くなります。同時生産にはシナジー効果があるので、正解はイです。
選択肢ごとの解説
- ×ア スケールメリットはあるが,シナジー効果はない。「スケールメリットがある」という部分が、両製品の平均費用の上昇と合いません。また、同時生産の費用は別々に作る場合より低いため、「シナジー効果はない」も表と合いません。
- ○イ スケールメリットはないが,シナジー効果はある。生産量を増やしても1本当たりの費用は下がりません。その一方で、2製品をまとめて作る費用は、同じ量を別々に作る費用より低く、この記述は両方の比較結果に一致します。
- ×ウ スケールメリットとシナジー効果がともにある。同時生産による費用の低下は表から確認できます。しかし、生産量を増やした際の平均費用は両製品とも上がるので、「スケールメリットもある」とは判断できません。
- ×エ スケールメリットとシナジー効果がともにない。スケールメリットがないという判断は表に合います。しかし、同量の2製品を別々に作るより同時に作るほうが安いため、「シナジー効果もない」という部分が誤りです。
POINT
- スケールメリットは総費用ではなく、製品ごとの単位当たり費用の変化で判断します。
- シナジー効果を調べるときは、各製品の生産量をそろえて費用を比較します。
- 生産量を増やす場合と、製品を組み合わせて作る場合は、別々に判断します。
